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九州大学 2019年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第3問

以下の問いに答えよ。

(1) 平面上の2点PQの座標をそれぞれ(a,b)(c,d)とし,Oを原点とする。
また,複素数αβα=a+ibβ=c+idと定める。
このとき,ベクトルOPOQ
内積OPOQ
αβ+αβ2に等しいことを示せ。
ただし,iは虚数単位,αβは,
それぞれ,αβの共役な複素数である。

(2) 原点Oを中心とする半径1の円を単位円という。
単位円に内接する正n角形(n3)の頂点をP0,P1,,Pn1とする。
このとき,単位円上の点Aに対して,Sp=(OP0OA)p+(OP1OA)p++(OPn1OA)pとする。ただし,p0<p<nを満たす整数とする。

(a) S1=0が成り立つことを示せ。

(b) S2=n2が成り立つことを示せ。

(c) Spの値は点Aによらないことを示せ。

難易度7/ 10計算量5/ 10目安32

複素数平面ベクトル三角関数 内積の利用、複素数の極形式、対称性の利用

方針

(1) では複素数の積 αβ の実部が内積になることを直接展開して示す。(2)では正 n 角形の頂点を単位複素数 ωk で表し、単位円上の点 Aγ と表す。内積は (ωkγ+ωkγ)/2 になるので、S1,S2n 乗根の和で消える。一般の Sp も二項展開し、0<p<n のため非定数の回転成分がすべて消えることを示す。

解答

(1) α=a+bi,β=c+di であるから β=cdi である。よってαβ=(a+bi)(cdi)=ac+bd+(bcad)iである。同様に αβ=ac+bd(bcad)i である。したがって αβ+αβ2=ac+bd である。一方、OP=(a,b),OQ=(c,d) なので OPOQ=ac+bd である。よって主張が示された。

(2) ω=cos2πn+isin2πn とおく。正 n 角形の頂点を表す複素数は、順に 1,ω,ω2,,ωn1 とおける。また、単位円上の点 A を表す複素数を γ とする。このとき γ=1 である。

(1) より、Pk に対応する複素数が ωk であることを用いるとOPkOA=ωkγ+ωkγ2である。

(a)S1=12k=0n1(ωkγ+ωkγ)である。ここで k=0n1ωk=0,k=0n1ωk=0 だから S1=0 である。

(b)S2=14k=0n1(ωkγ+ωkγ)2=14k=0n1(ω2kγ2+2γ2+ω2kγ2)である。n3 なので ω21 であり、k=0n1ω2k=0,k=0n1ω2k=0 が成り立つ。また γ=1 である。したがって S2=142n=n2 である。

(c)Sp=k=0n1(ωkγ+ωkγ2)pである。二項展開するとSp=12pj=0ppCjγjγpjk=0n1ωk(2jp)となる。

ここで 0<p<n だから、整数 2jp(n1)2jpn1 の範囲にある。したがって 2jp0 のとき、2jpn の倍数ではなく、k=0n1ωk(2jp)=0 である。残る可能性があるのは 2jp=0 の項だけである。

よって p が奇数なら残る項はなく、Sp=0 である。p が偶数なら j=p2 の項だけが残り、γ=1 より Sp=n2ppCp/2 である。いずれの場合も Spγ、すなわち点 A によらない。

別解

解法2

方針

頂点と点 A を偏角で表し、内積を余弦へ直す。正多角形上の等間隔な角に対する三角和を使い、cospx の複素指数展開で一般の p を処理する。

解答

(1)
α=a+ibβ=c+id とするとαβ+αβ=2(ac+bd)である。したがってOPOQ=ac+bd=αβ+αβ2となる。

(2)
n 角形の頂点の偏角をϕ+2kπn(k=0,1,,n1)とし、点 A の偏角を θ とする。δ=θϕ とおけばOPkOA=cos(δ2kπn)である。

(a)
等比数列の和からk=0n1e2kπi/n=0である。その実部を取れば S1=0 である。

(b)
cos2x=(1+cos2x)/2 よりS2=n2+12k=0n1cos(2δ4kπn)である。n3 では後半の和が0になるのでS2=n2である。

(c)
複素指数を用いるとcospx=12pj=0ppCjei(p2j)xである。これを各頂点の角へ代入して k について和を取る。0<p<n なので、p2j0 なら p2jn の倍数ではなく、対応する等比数列の和は0である。

したがって p が奇数なら Sp=0 である。p が偶数なら j=p/2 の定数項だけが残りSp=n2ppCp/2となる。いずれも θ、すなわち点 A によらない。

総評

難度7、目安時間32分。複素数表示と内積を結びつける問題で、(1)の実部計算を(2)でそのまま使う設計になっている。S1,S2 だけなら三角関数の和でも処理できるが、(c)まで一貫して示すには単位根 ω の和を使うのが最も整理しやすい。0<p<n という条件は、2jp が0以外で n の倍数にならないことを保証するために使われる。ここを明記すると証明の抜けがなくなる。

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出典: 九州大学 2019年度 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。