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九州大学 2019年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第5問

abを複素数,cを純虚数でない複素数とし,iを虚数単位とする。
複素数平面において,点zが虚軸全体を動くときw=az+bcz+1で定まる点wの軌跡をCとする。次の3条件が満たされているとする。

(ア) z=iのときにw=iとなり,z=iのときにw=iとなる。

(イ) Cは単位円の周に含まれる。

(ウ) 点1Cに属さない。

このときabcの値を求めよ。さらにCを求め,複素数平面上に図示せよ。

難易度7/ 10計算量6/ 10目安32

複素数平面 実部虚部比較、軌跡必要十分条件

方針

まず条件(ア)を z=i,i で代入して、a=1b=c を得る。すると w=(zc)/(cz+1) に整理される。虚軸上の点を z=iy とおき、条件(イ)の w=1iyc=1+icy として係数比較すると c=1 が出る。c=1 のもとで虚軸全体の像は単位円から極限点 1/c を除いた部分になる。条件(ウ)で 1 が属さないので、除かれる点が 1 でなければならず、c=1 が決まる。

解答

条件(ア)より、z=i のとき ai+bci+1=i である。したがって ai+b=i(ci+1)=c+i である。また z=i のとき ai+bci+1=i であるから ai+b=i(ci+1)=ci である。2つの式を足すと 2b=2c より b=c である。2つの式を引くと 2ai=2i より a=1 である。したがって w=zccz+1 となる。

次に条件(イ)を用いる。虚軸上の点を z=iy とおく。ただし y は実数である。このとき w=iycicy+1 である。C が単位円周に含まれるためには、すべての実数 y について w=1 となればよい。すなわち iyc=1+icy である。

ここで c=u+vi とおく。左辺の2乗は iyc2=u2+(yv)2 である。右辺の2乗は 1+icy2=1+iy(u+vi)2=(1vy)2+u2y2 である。両者がすべての実数 y で等しいので、係数を比較して u2+v2=1 を得る。したがって c=1 である。 c=1 のとき、上の計算により虚軸上のすべての点の像は単位円周上にある。さらに y± とすると w=iycicy+11c である。一方、c は純虚数でないので c±i であり、実数 y に対して実際に w=1c となることはない。したがって軌跡 C は、単位円周から点 1c を除いた部分である。

条件(ウ)より、点 1C に属さない。単位円周上で C から除かれる点は 1c だけなので 1c=1 でなければならない。よって c=1 である。したがって a=1,b=1,c=1 である。

このとき w=z+11z である。z=iy とおくと w=1+iy1iy であり、w=1 を満たす。さらに y±w1 となるが、有限の実数 y では w=1 にならない。したがって、C は単位円周から点 1 を除いた部分である。図示するときは、原点中心・半径1の円を描き、点 1 だけを白丸で除けばよい。点 ii は条件(ア)により含まれる。

別解。w=zccz+1z について解くと z=w+c1cw である。z が虚軸上にあることは z=z と同値である。c=1 を用いてこの条件を整理すると w=1 が出る。ただし分母が0になる点、すなわち w=1c だけは対応する有限の z をもたない。この見方でも、軌跡が単位円周から 1c を除いた部分であることが分かる。

別解

解法2

方針

条件(ア)で分数変換を1変数 c に絞り、逆変換で虚軸と単位円の対応を調べる。単位円上で有限の z に対応しない1点を特定し、条件(ウ)から c を決める。

解答

条件(ア)を z=i,i に代入するとai+b=c+i,ai+b=ciだからa=1,b=cである。よってw=zccz+1となる。z=iyc=u+vi とおき、条件(イ)の w=1 を使うとiyc2=1+icy2がすべての実数 y で成り立つ。y2 の係数を比べればu2+v2=1すなわち c=1 を得る。

変換を z について解くとz=w+c1cwである。c=1 のとき、虚軸に無限遠点を加えた集合は単位円周へ1対1に写る。ただし有限の z に対応しない点は1cw=0,w=1cだけである。c は純虚数でないため変換は定数にはならない。したがって C は単位円周から 1/c を除いた軌跡である。

条件(ウ)より、その除外点が 1 でなければならない。よって1c=1,c=1であり、a=1b=1 となる。このときw=z+11zで、軌跡は単位円周から点 1 を除いた部分である。

総評

難度7、目安時間32分。条件(ア)で a,b を一気に c へ集約できるかが入口である。条件(イ)は抽象的に見えるが、z=iyc=u+vi と置いて絶対値の2乗を係数比較すれば c=1 だけが残る。最後の条件(ウ)は単なる除外条件ではなく、虚軸の像で単位円周から抜ける1点を決めるための条件である。1 が「含まれない」理由を、極限では近づくが有限の y では到達しない点として説明できると答案の完成度が高い。

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出典: 九州大学 2019年度 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。