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九州大学 2023年度 前期日程 一般選抜文系数学 第3問

Oを原点とする座標平面上の0でない2つのベクトルm=(a,c),n=(b,d)に対して,D=adbcとおく。以下の問いに答えよ。

(1) mnが平行であるための必要十分条件は
D=0であることを示せ。

以下,D0であるとする。

(2) 座標平面上のベクトルvwmv=nw=1,mw=nv=0を満たすものを求めよ。

(3) 座標平面上のベクトルqに対してrm+sn=qを満たす実数rsqvwを用いて表せ。

難易度5/ 10計算量4/ 10目安15

ベクトル論証・証明 内積の利用ベクトル成分計算必要十分条件

方針

(1)D=adbc が2つのベクトルの平行条件を表すことを、成分の比例で両方向に示す。(2) は v=(x,y)w=(X,Y) とおき、内積条件から2元連立方程式を解く。(3) は、(2) で作った v,w が係数を取り出す役割を持つことを使い、両辺との内積から r,s を読む。

解答

(1)
まず mn が平行であるとする。すると、ある実数 λ によって (b,d)=λ(a,c) と表せる。したがって D=adbc=a(λc)(λa)c=0 である。

逆に D=0、すなわち adbc=0 とする。a0 のときは d=bca であるから (b,d)=ba(a,c) となり、mn は平行である。a=0 のとき、m=(a,c) は零ベクトルでないので c0 である。このとき D=bc=0 より b=0 であり、(b,d)=(0,d)=dc(0,c) となる。したがってこの場合も2つのベクトルは平行である。

以上より、mn が平行であるための必要十分条件は D=0 である。

(2) v=(x,y) とおく。条件mv=1,nv=0ax+cy=1,bx+dy=0 である。係数の行列式は adbc=D0 なので、連立方程式は一意に解け、x=dD,y=bD である。よって v=(dD,bD) である。

同様に w=(X,Y) とおくと、条件mw=0,nw=1aX+cY=0,bX+dY=1 であり、これを解いて X=cD,Y=aD を得る。したがって w=(cD,aD) である。

(3) rm+sn=q の両辺と v の内積をとると、(2) の条件よりr(mv)+s(nv)=rである。したがって r=qv である。同様に両辺と w の内積をとると s=qw となる。よって求める表し方はr=qv,s=qwである。

別解

解法2(90度回転したベクトルを使う方法)

方針

(x,y) を90度回転した (y,x) を用いる。Dnm の内積なので平行条件が直ちに読める。(2) では n に垂直な (d,b)m に垂直な (c,a)D で規格化して,係数を取り出す双対ベクトルを構成する。

解答

(1) m=(c,a)とおくとnm=(b,d)(c,a)=adbc=D.m0 なので,m0 である。平面上でnm=0 であることは,
nm と平行であることと同値である。
よって平行であるための必要十分条件は D=0 である。

(2)
(d,b)n=(b,d) に垂直であり,m(d,b)=adbc=D.したがってv=1D(d,b)=(dD,bD)とおけばmv=1nv=0 となる。

同様に (c,a)m に垂直で,n(c,a)=D だからw=1D(c,a)=(cD,aD)が残りの2条件を満たす。

(3) rm+sn=qの両辺と v の内積をとれば r だけが残り,
w の内積をとれば s だけが残る。よってr=qv,s=qwである。

総評

成分表示の平行条件から、係数を取り出す補助ベクトルまでつなげる基礎的だが抽象度のある問題。目安時間は18〜22分。(1) では a=0 の場合を落とさず、零ベクトルでない条件を使って処理することが大切である。(2) の v,w は単に連立方程式の解ではなく、(3) で r,s を内積で読み取るための道具だと意識すると、答案の流れが自然になる。 連立方程式による標準解法と,90度回転ベクトルを規格化して双対ベクトルを構成する解法をそろえた。(3) の内積が係数抽出器として働く意味が見える。

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出典: 九州大学 令和5年度一般選抜(前期日程)数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。