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九州大学 2023年度 前期日程 一般選抜文系数学 第4問

ωx3=1の虚数解のうち虚部が正であるものとする。さいころを繰り返し投げて,
次の規則で4つの複素数0,1,ω,ω2を並べていくことにより,
複素数の列z1,z2,z3,を定める。

z1=0とする。

zkまで定まったとき,さいころを投げて,出た目をtとする。
このときzk+1を以下のように定める。

zk=0のとき,zk+1=ωtとする。

zk0,t=1,2のとき,zk+1=0とする。

zk0,t=3のとき,zk+1=ωzkとする。

zk0,t=4のとき,zk+1=ωzkとする。

zk0,t=5のとき,zk+1=zkとする。

zk0,t=6のとき,zk+1=zkとする。

ここで複素数zに対し,zzと共役な複素数を表す。以下の問いに答えよ。

(1) ω2=ωとなることを示せ。

(2) zn=0となる確率をnの式で表せ。

(3) z3=1z3=ωz3=ω2となる確率をそれぞれ求めよ。

(4) zn=1となる確率をnの式で表せ。

難易度6/ 10計算量5/ 10目安20

確率複素数平面 状態分類確率漸化式対称性の利用

方針

状態を 0,1,ω,ω2 の4つに分ける。まず zn=0 の確率だけに注目すると、0 からは次に必ず非零へ移り、非零からはさいころの目 1,2 のときだけ 0 へ戻るので、1本の漸化式で求まる。次に、非零3状態は初期状態と遷移規則の対称性により常に同じ確率になることを確認し、zn=1 の確率を 1P(zn=0) の3分の1として求める。

解答

(1) x3=1 より x31=(x1)(x2+x+1) である。虚数解は 1±3i2 であり、虚部が正であるものは ω=12+32i である。したがって ω2=1232i=ω となる。

(2) qn=P(zn=0) とおく。zk=0 のときは、次の zk+1=ωt は必ず 1,ω,ω2 のいずれかであり、0 にはならない。一方、zk0 のときは、さいころの目が 1,2 のときだけ zk+1=0 になるので、その確率は 13 である。よって qn+1=13(1qn) である。また z1=0 より q1=1 である。

この漸化式を qn+114=13(qn14) と書くと、qn14=(13)n1(114) である。したがって P(zn=0)=qn=14+34(13)n1 となる。

(3) z1=0 であるから、1回目のさいころの後、z21,ω,ω2 のそれぞれを確率 13 でとる。

(2) より P(z3=0)=14+34(13)2=13 である。また、z2=1,ω,ω2 が等確率であり、非零状態の間の規則は 1,ω,ω2 を循環・共役で入れ替える形になっているので、z3 が非零であるときの3つの値の確率は等しい。したがって P(z3=1)=P(z3=ω)=P(z3=ω2)=1P(z3=0)3=29 である。

(4) rn=P(zn=1)sn=P(zn=ω)tn=P(zn=ω2) とおく。n=1 では r1=s1=t1=0 である。また、zk=0 からは 1,ω,ω2 へそれぞれ確率 13 で移り、非零3状態の間の移り方も3つの状態を対称に扱う。したがって、rn=sn=tn なら rn+1=sn+1=tn+1 である。帰納法により、すべての nP(zn=1)=P(zn=ω)=P(zn=ω2) が成り立つ。

よって P(zn=1)=1P(zn=0)3 である。(2) の結果を代入してP(zn=1)=13{1(14+34(13)n1)}=1414(13)n1を得る。

別解

解法2(4状態の遷移行列を使う方法)

方針

0,1,ω,ω2 の確率を列ベクトルにし,さいころ6通りをそのまま遷移行列へ書く。初期ベクトル (1,0,0,0)T から,常に非零3状態の確率が等しい形 (qn,pn,pn,pn)T が保たれることを行列で確認し,2状態の漸化式に縮約する。

解答

(1)
x31=(x1)(x2+x+1) よりω=12+32i.したがってω2=1232i=ωである。

以下,4状態をまとめて扱う。pn=(qnrnsnun)=(P(zn=0)P(zn=1)P(zn=ω)P(zn=ω2))とおく。各状態からさいころの6通りを数えるとpn+1=(01/31/31/31/31/301/31/31/61/31/61/31/61/31/6)pn.(1)p1=(1,0,0,0)T である。また (1) の右辺へ
(q,p,p,p)T を代入すると(pq/3+2p/3q/3+2p/3q/3+2p/3)となる。したがって帰納的にrn=sn=un=1qn3がすべての n で成り立つ。

(2)
(1) の第1行からqn+1=1qn3,q1=1である。よってqn+114=13(qn14)を解いてP(zn=0)=qn=14+34(13)n1を得る。

(3)
n=3 では q3=1/3 だからP(z3=1)=P(z3=ω)=P(z3=ω2)=29.(4)
さらに一般にP(zn=1)=rn=1qn3=1414(13)n1である。

総評

複素数を使った規則に見えるが、実質は4状態の確率遷移を読む問題。目安時間は22〜26分。最初に zn=0 の確率だけを抜き出すと漸化式が一気に簡単になる。非零3状態の確率が等しいことは「雰囲気」ではなく、0 から等確率で出発し、規則が循環と共役で3状態を対称に扱うことから説明する必要がある。 非零3状態の確率が等しいことを曖昧な対称性だけに頼らず,4状態の遷移行列で各流入確率まで検証した。2状態漸化式と行列表示が同じ一般項を与える。

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出典: 九州大学 令和5年度一般選抜(前期日程)数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。