方針
積分区間が [x,x+1] と動くので,g(t)=log(4t2+1) とおき,f′(x)=g(x+1)−g(x) を使う。極値の位置と符号変化を確認し,極小値は偶関数性,部分積分,u=2t,u=tanθ で計算する。(2) は2つの積分を同じ [0,1] 上にそろえ,さらに微分積分学の基本定理で二重積分にする。xg′(x+c)→2 が −1≦c≦1 で一様に成り立つことを具体的に評価する。
解答
(1) g(t)=log(4t2+1) とおくと f(x)=∫xx+1g(t)dt である。積分区間の両端が x によって動くので,f′(x)=g(x+1)−g(x) である。したがって f′(x)=log(4(x+1)2+1)−log(4x2+1)=log4x2+14(x+1)2+1 である。 f′(x)=0 となるのは 4(x+1)2+1=4x2+1 のときであり,整理して 8x+4=0 より x=−21 である。また,4(x+1)2+1<4x2+1 は (x+1)2<x2 すなわち x<−21 と同値である。よって x<−1/2 で f′(x)<0,x>−1/2 で f′(x)>0 となる。したがって x=−1/2 で極小となる。
極小値を求める。 f(−21)=∫−1/21/2log(4t2+1)dt である。被積分関数は偶関数なので f(−21)=2∫01/2log(4t2+1)dt である。ここで部分積分を用いると∫01/2log(4t2+1)dt=[tlog(4t2+1)]01/2−∫01/2t⋅4t2+18tdt=21log2−∫01/24t2+18t2dt.さらに 4t2+18t2=2−4t2+12 だから∫01/2log(4t2+1)dt=21log2−1+∫01/24t2+12dtである。最後の積分で u=2t とおくと ∫01/24t2+12dt=∫01u2+11du である。さらに u=tanθ とおくと,u=0 で θ=0,u=1 で θ=π/4 だから ∫01u2+11du=∫0π/41dθ=4π である。よってf(−21)=2(21log2−1+4π)=log2−2+2πである。したがって x=−21 で極小値 log2−2+2π であり,極大値は存在しない。
(2)
g(t)=log(4t2+1) とおく。積分区間を [0,1] にそろえるとf(x)−f(x−1)=∫01{g(x+u)−g(x−1+u)}du.さらに微分積分学の基本定理よりg(x+u)−g(x−1+u)=∫01g′(x−1+u+v)dvである。したがってx{f(x)−f(x−1)}=∫01∫01xg′(x−1+u+v)dvdu.ここでg′(s)=4s2+18s.c=−1+u+v とおけば −1≦c≦1 であり,x>2 のとき∣xg′(x+c)−2∣=4(x+c)2+18x(x+c)−2=4(x+c)2+1∣8c(x+c)+2∣≦4(x−1)2+18x+10.右辺は x→∞ で0に収束し,c∈[−1,1] に依存しない。よって xg′(x+c)→2 はこの区間で一様である。上の二重積分との差を直接評価すると∣x{f(x)−f(x−1)}−2∣≦∫01∫01∣xg′(x−1+u+v)−2∣dvdu≦4(x−1)2+18x+10⟶0.したがってx→∞limx{f(x)−f(x−1)}=2.
総評
難度6,計算量6。想定時間は28分程度。動く区間の積分では f′(x)=g(x+1)−g(x) とし,x=−1/2 の前後の符号から極小であることを示す。極小値は偶関数性と部分積分で log2−2+π/2 となる。(2) では点ごとの極限をそのまま積分の中へ入れるのは不十分である。二重積分表示に直し,c∈[−1,1] に対する誤差を (8x+10)/(4(x−1)2+1) で一様に抑えれば,極限値2が厳密に従う。典型的な失点は部分積分後の係数2と,u=tanθ の置換範囲 [0,π/4] の取り違えである。
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出典: 九州大学 令和8年度一般選抜(前期日程)数学(理科系・公式問題)(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。