方針
6の目が出た回数 r を、各回の指示変数 Xi の和として表す。E(r)=n/6 はすぐ出るが、比較に必要なのは E(r2) であり、E(r2)=∑E(Xi)+2∑E(XiXj) として求める。最後に期待金額 m=aE(r2)+bE(r)+c と指定式との差を取る。
解答
6の目が出た回数を r とする。各回について、6の目が出れば 1、出なければ 0 となる変数を Xi(i=1,2,…,n) とおくと r=X1+X2+⋯+Xn である。
各 Xi について E(Xi)=61 だから E(r)=6n である。
次に E(r2) を求める。Xi2=Xi であり、i=j のとき独立性より E(XiXj)=361 である。したがってE(r2)=Ei=1∑nXi2+21≦i<j≦n∑XiXj=6n+2⋅2n(n−1)⋅361=36n2+5nである。
得られる金額の期待値は m=E(ar2+br+c)=aE(r2)+bE(r)+c であるから m=a36n2+5n+b6n+c である。
これと 36an2+6bn+c との差を取ると m−(36an2+6bn+c)=365an である。a>0, n≧1 なのでこれは正である。したがって m の方が大きい。
1回の成功数と、異なる2回の成功対を分けて数える
別解
解法2
方針
r2=r+r(r−1) と分ける。r は6が出た回数、
r(r−1) は異なる2回でともに6が出た順序つきの組の数なので、
それぞれの期待値を直接数える。
解答
6が出た回数を r とする。各回で6が出る確率は
61 だからE(r)=6n.一方、r(r−1) は、6が出た異なる2回を順序つきで選ぶ個数である。
順序つきの回の組は n(n−1) 個あり、固定した2回がともに
6である確率は 361 だからE{r(r−1)}=36n(n−1).r2=r+r(r−1) よりE(r2)=6n+36n(n−1)=36n2+5n.したがってm=aE(r2)+bE(r)+c=36a(n2+5n)+6bn+c.よってm−(36an2+6bn+c)=365an>0.したがって m の方が大きい。
総評
さいころで6が出る回数の2乗の期待値を使う問題。目安時間は14分。平均回数 E(r)=n/6 だけでは足りず、E(r2) を正しく求める必要がある。E(r2) を (E(r))2 としてしまう誤りが典型的で、指示変数に分けると安全に計算できる。 2つの解法を相互に照合し、境界値・必要十分性・符号・最終値を確認した。
冊子PDFで見る名大の確率の問題で問題集を作る
出典: 名古屋大学 1984年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。