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名古屋大学 1986年度 前期日程 第2次学力試験 確率・ベクトル理系数学 第4問(b)

n=0,1,2,に対して,
Zn=(Xn,Yn)は整数を座標とする点の上を動くとし,
ZnからZn+1への移動は,毎回,1,2,3,4の番号札の入っている箱から1つをとり,
1ならば上へ,2ならば下に,3ならば左へ,4ならば右へ,1の長さを動くとする.
原点から出発する.

(1) S=X32+Y32とするとき,
確率変数Sの期待値E(S)を求めよ.

(2) Tn=Xn2+Yn2とするとき,
確率変数Tnの期待値E(Tn)nであることを示せ.

難易度5/ 10計算量4/ 10目安16

確率ベクトル 期待値、状態分類、独立性の利用

方針

(1) は64通りを最終距離3、5、1に分類する。(2)は次の一歩を (U,V) として二乗距離を展開し、現在位置を固定したとき交差項の平均が0になることを使う。

解答

(1) 全経路は 43=64 通りである。3回とも同じ向きなら S=3 で4通りである。2回が同方向、残り1回が垂直方向なら S=5423=24通りである。残る36通りは、反対向きの一組が打ち消し合うなどして S=1 となる。よってE(S)=43+245+3664=3(2+5)8.(2) 次の一歩を (U,V) とするとE(U)=E(V)=0,U2+V2=1.したがってTn+1=(Xn+U)2+(Yn+V)2=Tn+2XnU+2YnV+1.現在位置を固定しても次の一歩の平均は0だからE(Tn+1)=E(Tn)+1.T0=0 より帰納法でE(Tn)=nとなる。

別解

解法2(母多項式と歩ベクトルの和)

方針

(1) は一歩の四方向を表す式を3乗し、同じ終点へ着く経路数を係数として読む。(2)は位置を独立な歩ベクトルの和とし、長さの二乗を展開して異なる時刻の内積の期待値が0になることを示す。

解答

(1) 右、左、上、下をそれぞれ u,u1,v,v1 と表すと、3歩後の終点ごとの経路数は(u+u1+v+v1)3の係数で与えられる。指数の組を整理すると、距離3の四終点には各1通り、距離 5 の八終点には各3通り、距離1の四終点には各9通りである。したがってE(S)=43+835+4964=3(2+5)8.(2) 第 j 歩のベクトルを Wj とするとZn=W1+W2++Wn.Wj は長さ1で平均ベクトルが0である。よってTn=Zn2=j=1nWj2+21i<jnWiWj.異なる歩は独立で平均が0なので E(WiWj)=0 である。また Wj2=1 だからE(Tn)=j=1n1=n.

総評

難易度5、計算量4。目安時間は16分である。(1)は S=3,5,1 の三種類しかないことと通り数の合計が64になることを確認する。(2)では交差項を理由なく消さず、異なる時刻の歩が独立で各方向の平均が0であることを書く。

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出典: 名古屋大学 1986年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。