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名古屋大学 1987年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第3問

1辺の長さが1の正方形の頂点を時計まわりにABCDとする.
硬貨を投げて,表ならば2,裏ならば1,時計まわりに周上を動く運動を考える.
次の問に答えよ.

(1) Aから出発し,硬貨を10回投げたとき,ABCDの位置に来る確率をそれぞれ求めよ.

(2) P君はAから出発し,Q君はBから出発するとし,
それぞれ硬貨を10回ずつ投げたときに2人が同じ位置に来る確率を求めよ.

難易度6/ 10計算量6/ 10目安22

確率場合の数 数え上げ、二項定理、独立性の利用

方針

表の回数を h とすると、10回後の移動数は 10+h である。これを4で割った余りによって A,B,C,D のどこにいるかを分類し、該当する h の二項係数を足す。(2)では、出発点から見た移動量の分布を p0,p1,p2,p3 とおき、Q 君は最初に1つ先の B から出発していることを反映して、独立な2つの分布をずらして掛け合わせる。

解答

(1)
表の出た回数を h とする。10回中、裏は 10h 回であるから、出発点からの全移動数は 2h+(10h)=10+h である。正方形の頂点は4つなので、移動数を4で割った余りが位置を決める。 A,B,C,D はそれぞれ出発点 A から時計まわりに 0,1,2,3 だけ進んだ位置である。102(mod4) だから、各位置に来る条件はA: h2(mod4),B: h3(mod4),C: h0(mod4),D: h1(mod4)である。

全事象数は 210=1024 である。したがってP(A)=10C2+10C6+10C101024=45+210+11024=14,P(B)=10C3+10C71024=120+1201024=1564,P(C)=10C0+10C4+10C81024=1+210+451024=14,P(D)=10C1+10C5+10C91024=10+252+101024=1764である。

(2)
出発点から見た移動先を、時計まわりに 0,1,2,3 だけ進んだ位置として表す。その確率をp0=14,p1=1564,p2=14,p3=1764とおく。 P 君は A から出発し、Q 君は B から出発する。Q 君は最初から P 君より時計まわりに1つ先にいるので、最終的に同じ位置にいるためには、P 君の移動量が Q 君の移動量より時計まわりに1つ大きい必要がある。したがって求める確率は p1p0+p2p1+p3p2+p0p3 である。これを計算するとp1p0+p2p1+p3p2+p0p3=1516+1615+1716+1617642=10244096=14.よって求める確率は 14 である。

別解

解法2:4頂点の通り数を順に更新する

方針

各頂点へ着く通り数を、裏なら1頂点、表なら2頂点進む規則で10回更新する。得た4成分を1024で割って分布とし、2人の移動量のずれを掛け合わせる。

解答

(1)
n 回後に A,B,C,D にいる動き方の数を (an,bn,cn,dn) とする。裏で1頂点、表で2頂点進むので(an+1,bn+1,cn+1,dn+1)=(dn+cn, an+dn, bn+an, cn+bn)である。(a0,b0,c0,d0)=(1,0,0,0) から10回更新すると(a10,b10,c10,d10)=(256,240,256,272).全ての表裏の列は 210=1024 通りだからP(A)=14,P(B)=1564,P(C)=14,P(D)=1764.(2)
2人の出発点は1頂点ずれている。したがって同じ頂点に着くには、P 君の移動量が Q 君より1頂点分だけ多ければよい。独立性より、その確率は240256+256240+272256+25627210242=2621441048576=14.よって求める確率は 1/4 である。

総評

難度6、計算量6、目安時間22分。表の回数による数え上げと、4状態の通り数更新で分布 (256,240,256,272)/1024 を照合した。2人は1頂点ずれて出発するため、同じ移動量を掛けるのではなく1成分ずらして掛ける。独立性から出会う確率は 1/4

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出典: 名古屋大学 1987年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。