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名古屋大学 1989年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第3問

xy平面上に2点P=(0,1)Q=(1,2)をとる.
2次正方行列Aの定める1次変換をfとするとき,
fは点QQ自身にうつし,
PQを通る直線l上の点を同じl上の点にうつすものとする.

(1) このような行列Aをすべて求めよ.

(2) 上のような行列Aの中で次の条件(*)を満たすものを求めよ.

(*) 点Pn=(xn,yn)P1=PPn+1=f(Pn) (n1)で定めるとき,
limnPn=Qすなわち,
limnxn=1
limnyn=2である.

難易度7/ 10計算量6/ 10目安20

行列数列ベクトル 座標設定、パラメータ処理、漸化式の変形

方針

直線 l は固定点 Q を通り、方向ベクトル (1,1) をもつ。Q が1倍、方向ベクトルが λ 倍されると考えて行列を求める。反復では PQ=(1,1) が毎回 λ 倍されるので、収束条件を λn10 へ直す。

解答

(1) 直線 ll: y=x+1で、方向ベクトルはv=(11)である。Q が固定されるのでA(12)=(12).(1)l 上の点は Q+tv と書ける。これらが再び l 上へ移るための必要十分条件は、ある実数 λ によってAv=λv(2)と書けることである。(1),(2)よりA=(1121)(100λ)(1121).計算するとA=(1+2λ1λ2+2λ2λ),λR.(2)P=Qvであり、Q は固定、v は1回ごとに λ 倍される。したがってPn=Qλn1v.よって PnQ となるための必要十分条件はλn10,すなわち1<λ<1である。求める行列は(1+2λ1λ2+2λ2λ),1<λ<1.

別解

解法2:行列の成分と直線上の座標で解く

方針

行列の4成分を直接おき、Q が固定される条件と、y=x+1 上の点の像が同じ直線上にある条件を連立する。直線上の点を (t,t+1) と書けば、反復は1変数の漸化式になり、収束条件を直接判定できる。

解答

(1) A=(abcd)とおく。AQ=Q よりa+2b=1,c+2d=2.(1)l 上の点を (t,t+1) とすると、その像は((a+b)t+b, (c+d)t+d).これがすべての t について y=x+1 を満たす条件はc+d=a+b,d=b+1.(2)(1),(2)を解くとa=12b,c=2b,d=1+b.したがってA=(12bb2b1+b),bR.(2) Pn=(tn,tn+1) と書く。P1=P=(0,1) だから t1=0 である。第1成分を計算するとtn+1=(12b)tn+b(tn+1)=(1b)tn+b.よってtn+11=(1b)(tn1)でありtn1=(1b)n1.PnQ=(1,2) の必要十分条件は tn1 だから1b<1,すなわち0<b<2.したがって条件を満たす行列は(12bb2b1+b),0<b<2である。

総評

難度は10段階中7、計算量は10段階中6。問題文が行列による1次変換を明示しているため、この大問では当時の高校課程の行列を用いる。固定点 Q と直線の方向を別々に追うと、行列の1自由度と反復の倍率が同時に見える。成分解法では Pn=(tn,tn+1) と1変数化し、端点 b=0,2 では収束しないことまで確認したい。目安時間は20分。

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出典: 名古屋大学 1989年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。