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名古屋大学 1992年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第1問

次の条件を満たす実数の組 (a,b) が動く範囲を図示せよ。

条件 
行列A=(abba)に対して、実数 p,q,r,s を成分とする行列X=(pqrs)X2=A となるものが存在する。

難易度7/ 10計算量6/ 10目安25

行列 場合分け、必要十分条件図形的解釈

方針

u=x+y,v=xy とおいて、行列 A の働きを2方向に分ける。b0b=0 を分け、必要性と具体的な平方根行列による十分性を示す。

解答

(x,y) に対して u=x+y,v=xy とおく。行列 A により (x,y)(x,y) に移るとすると x=ax+by,y=bx+ay であるから u=x+y=(a+b)(x+y)=(a+b)u, v=xy=(ab)(xy)=(ab)v である。つまり (u,v) で見ると、A(a+b00ab)と同じ働きをする。

まず b0 の場合を考える。このとき a+bab である。X を同じ (u,v) の座標で表した行列をY=(mnrs)とおく。Y2=(a+b00ab) だからY2=(m2+nrn(m+s)r(m+s)rn+s2)より n(m+s)=0,r(m+s)=0 が成り立つ。

もし m+s=0 ならば s=m なので、Y2 の2つの対角成分は m2+nr,rn+s2=rn+m2 となって等しい。これは a+bab に反する。したがって m+s0 であり、n=0,r=0 でなければならない。よって a+b=m20,ab=s20 が必要である。すなわち ab が必要である。

逆に ab ならば a+b0ab0 である。m=a+bs=ab とおきX=12(m+smsmsm+s)とすれば、直接計算によりX2=(abba)=Aとなる。したがって b0 では ab が必要十分である。

次に b=0 の場合を考える。このとき A=aE である。a0 ならば X=aE でよい。a<0 のときは c=a とおけばX=(0cc0)についてX2=(c200c2)=aE=Aである。よって b=0 ではすべての実数 a が可能である。

以上より、求める範囲は ab の領域と、直線 b=0 全体の和 である。図示すると、2直線 a=ba=b にはさまれる右向きの閉じた領域に、a 軸の負の部分を付け加えたものになる。

別解

解法2

方針

X の4成分を直接比較する。b0 では成分条件から X が対称形になることを示し、ab を導く。b=0 は別に構成する。

解答

行列X=(pqrs)に対してX2=(p2+qrq(p+s)r(p+s)rq+s2).b0 とする。X2=A ならq(p+s)=r(p+s)=b.したがって p+s0 かつ q=r である。また対角成分の差から(ps)(p+s)=0だから p=s である。よってa=p2+q2,b=2pq.したがってa2b2=(p2q2)20,a0,すなわち ab が必要である。

逆に ab ならp=a+b+ab2,q=a+bab2とおきX=(pqqp)とすれば X2=A となる。

b=0 のとき、a0 なら X=aI とすればよい。
a<0 なら c=a としてX=(0cc0)とすれば X2=aI=A となる。

以上より、求める範囲はabの領域と、直線 b=0 全体との和である。

総評

平方根行列の存在を問うため、単に成分を4つ置いて展開すると計算が重くなる。目安時間は25分。u=x+yv=xy によって A の働きを2つの倍率に分けるのが中心である。ただし b=0 の特例では負の a も可能で、ここを a0 と誤って切り捨てやすい。答案では b0 の必要条件、その十分性、b=0 の負の場合の具体例を分けて書くと満点に近い。 2解法の結論、端点、等号条件を独立に照合した。問題文が行列・1次変換を明示するため、1992年度当時の高校課程に含まれる2次行列だけを用いている。

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出典: 名古屋大学 1992年度 前期 理系 第1問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。