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名古屋大学 1995年度 前期日程 第2次学力試験 行列(問題が明示的に行列を扱う場合、または出題範囲が許す場合のみ)文系数学 第3問(b)

2次の行列A=(1abab)
条件:A2(11)=(00)を満たしているとする.

(1) A(11)(00)ならば,
A2=Oであることを示せ.(ただし,Oは零行列)

(2) A(11)=(00)かつ
A34A=Oであるとき,AA2を求めよ.

難易度6/ 10計算量5/ 10目安20

行列 式変形、場合分け、帰納的定義の利用

方針

行列 A は列ベクトル (1b) と行ベクトル (1a) の積として見られるため,A2=(1+ab)A が成り立つ。さらに A(11) も直接計算し,条件を (1a)(1+ab)=0 に落とす。(1) は a1 側,(2) は a=1 側として分け,A34A=O から b を決める。

解答

まずA=(1b)(1a)と書ける。したがってA2=(1b)(1a)(1b)(1a)=(1+ab)Aである。またA(11)=(1abab)=(1a)(1b)である。よってA2(11)=(1+ab)(1a)(1b)となる。列ベクトル (1b) は零ベクトルではないので,問題の条件は (1a)(1+ab)=0 と同値である。

(1) A(11)(00)ならば,上で得た式より a1 である。したがって条件 (1a)(1+ab)=0 から 1+ab=0 が従う。ゆえに A2=(1+ab)A=O である。

(2) A(11)=(00)より 1a=0 であるから a=1 である。このときA=(11bb),A2=(1+b)Aである。さらに A3=(1+b)A2=(1+b)2A なので A34A={(1+b)24}A である。ここで A は左上成分が1であるから零行列ではない。したがって (1+b)24=0 となる。よって 1+b=2,1+b=2 から b=1,b=3 である。 b=1 のときA=(1111),A2=2A=(2222)である。b=3 のときA=(1133),A2=2A=(2266)である。以上が求める A,A2 である。

行列 A の像は1本の直線上

別解

解法2

方針

A が任意のベクトルを (1,b)T の定数倍へ写すことを使う。
写像を2回行ったときの倍率から、問題の2条件をそれぞれ処理する。

解答

任意の列ベクトルに対してA(xy)=(x+ay)(1b)である。特にA(11)=(1a)(1b),A(1b)=(1+ab)(1b).よって与えられた条件は(1a)(1+ab)=0と同値である。

(1)
A(1,1)T(0,0)T なら a1 であるから 1+ab=0 である。
任意のベクトルは1回目で (1,b)T の倍数へ写り、2回目には倍率 1+ab=0 が掛かる。
したがって A2=O である。

(2)
A(1,1)T=(0,0)T より a=1 である。このとき A の像の直線上では
A1+b 倍として作用するのでA2=(1+b)A,A3=(1+b)2A.AO だから A34A=O より(1+b)2=4.b=1,3 を得る。したがってA=(1111),A2=(2222),またはA=(1133),A2=(2266)である。

総評

難度は10段階中6、計算量は10段階中5。目安時間は18分から22分。鍵は,いきなり成分をすべて展開するのではなく,A を列ベクトルと行ベクトルの積として見て A2=(1+ab)A を得ることである。条件 A2(11)=0(1a)(1+ab)=0 という分岐を作るため,(1) と (2) の仮定がどちらの分岐に対応するかを明確に書くとよい。(2) では AO の確認を入れてから係数を0にするのが安全である。

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出典: 名古屋大学 1995年度 前期日程 第2次学力試験 文系 第3問(b)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。