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名古屋大学 1998年度 前期日程 第2次学力試験 行列(問題が明示的に行列を扱う場合、または出題範囲が許す場合のみ)・数列文系数学 第3問(b)

2つの実数ab (a12)に対し,
A1=(a0ba)とし,
Eを単位行列とする.

(1) 等式A2(E+2A1)=A1を満たす行列A2を求めよ.

(2) 自然数nに対して,等式An+1(E+2An)=Anにより順にA2,A3,を定める.
Anを求めよ.

難易度6/ 10計算量5/ 10目安20

行列数列 式変形、漸化式の変形、帰納的定義の利用

方針

E+2An をひとまとまりとして見ると、与えられた漸化式は逆行列を取る形に変わる。まず E+2A1 が逆行列をもつことを a1/2 から確認し、A2 を直接計算する。その後 Bn=E+2An とおき、Bn+1=Bn1 を導いて周期2であることを示す。

解答

(1) d=1+2a とおく。仮定 a1/2 より d0 である。まずE+2A1=(d02bd)であるから(E+2A1)1=(1d02bd21d)である。等式 A2(E+2A1)=A1 の右から (E+2A1)1 をかけると A2=A1(E+2A1)1 なのでA2=(a0ba)(1d02bd21d)である。成分を計算すると、左下成分は(bd2abd2)=b(d2a)d2=bd2となる。したがってA2=(a1+2a0b(1+2a)2a1+2a)である。

(2) Bn=E+2An とおく。(1)で B1 は逆行列をもつ。漸化式より An+1Bn=An であるから、Bn が逆行列をもつとき An+1=AnBn1 である。よって Bn+1=E+2An+1=E2AnBn1 である。ここで E=BnBn1 と書けば Bn+1=(Bn2An)Bn1=EBn1=Bn1 となる。したがって Bn+2=Bn+11=Bn であり、An+2=An である。

ゆえに An は奇数番目と偶数番目で交互に現れ、An={(a0ba)(n が奇数),(a1+2a0b(1+2a)2a1+2a)(n が偶数)である。

別解

解法2

方針

各行列の形を (xn0ynxn) と固定し、積の各成分を比較して (xn,yn) の変換を求める。同じ変換をもう一度施すと元へ戻ることを直接確かめ、奇数番・偶数番の式を得る。

解答

すべての n についてAn=(xn0ynxn)と書けることを、以下の計算と帰納法で同時に確かめる。dn=1+2xn とおくとE+2An=(dn02yndn).An+1 の成分を xn+1,yn+1 として積を比較するとxn+1dn=xn,yn+1dn+2xn+1yn=yn.従ってxn+1=xndn,1+2xn+1=1dn,yn+1=yndn2.初めは d1=1+2a0 であり、次の dn+1=1/dn も0ではないので、この計算は常に可能である。

(1)
(x1,y1)=(a,b) を代入してA2=(a1+2a0b(1+2a)2a1+2a).(2)
上の変換をもう一度施すと、dn+1=1/dn だからxn+2=xn/dn1/dn=xn,yn+2=yn/dn2(1/dn)2=yn.従って An+2=An であり、An={(a0ba)(n が奇数),(a1+2a0b(1+2a)2a1+2a)(n が偶数)となる。

総評

行列漸化式をそのまま展開すると重く見えるが、E+2An を置くと周期2が一気に見える問題で、想定時間は20分程度。得点差がつくのは、E+2A1 が可逆である理由を a1/2 と結びつける部分、そして Bn+1=Bn1 の式変形を省略しない部分である。左下成分の符号と分母の2乗は誤りやすいので、(1)の直接計算を丁寧に残すとよい。

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出典: 名古屋大学 1998年度 前期 文系 第3問(b)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。