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名古屋大学 2001年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第1問

A=(32121232)とする.
つぎの各問に答えよ.

(1) A(st)=k(st)
成り立つような実数kの値を2つ求めよ.
ただし,(st)(00)とする.

(2) (1)で求めたkの値をk1k2 (k1<k2)とし,
B=(k100k2)とする.
このとき,A=P1BPを満たし,かつ,PP=EとなるP=(abcd)(a>0,c>0)を求めよ.ただし,P=(abcd)に対して
P=(acbd)であり,
E=(1001)である.
以下では,(2)で求めたPを用いる.

(3) 実数xyに対して,xy
(xy)=P(xy)で定める.
(x,y)が円x2+(y1)2=1の上を動くとき,点(x,y)の軌跡を図示せよ.

(4) すべての実数xyに対して
Pn(xy)=(xy)となる
最小の自然数nを求めよ.

難易度5/ 10計算量5/ 10目安18

行列図形と方程式 回転・拡大軌跡、計算整理

方針

(1)(1,1)T(1,1)TA をかけ、対応する k を直接求める。(2)ではこの2方向を長さ1にそろえて P の行に並べれば、PP=E かつ A=P1BP が成り立つ。(3)の (x,y)=P(x,y) は原点中心の45度回転なので、円の中心 (0,1) を移した点と半径を答える。(4)は45度回転を何回で恒等変換に戻すかを考える。

解答

(1)

まずA(11)=(11)である。したがって、この方向に対しては k=1 である。

またA(11)=2(11)である。したがって、もう一つの値は k=2 である。よって k=1, 2 であり、k1=1,k2=2 である。

(2)

(1) で得た2つの方向を長さ1にそろえると 12(1,1),12(1,1) である。条件 a>0,c>0 に合わせて、これらを行に並べP=12(1111)とする。

このとき2つの行ベクトルは長さ1で互いに垂直なので PP=E である。また、直接計算によりPA=(1002)Pである。したがってA=P1(1002)P=P1BPとなり、条件を満たす。

(3)

(2)P により x=xy2,y=x+y2 である。これは原点を中心とする45度の回転であり、距離を保つ変換である。

もとの円 x2+(y1)2=1 は、中心 (0,1)、半径1の円である。中心 (0,1)P によって(012,0+12)=(12,12)へ移る。半径は変わらない。

したがって点 (x,y) の軌跡は(x+12)2+(y12)2=1である。すなわち、中心 (1/2,1/2)、半径1の円である。

(4) P は原点中心に45度回転する変換である。Pn がすべての (x,y) を動かさないためには、回転角 45n360 の整数倍でなければならない。

最小の自然数 n45n=360 を満たす n=8 である。

別解

解法2(回転行列として直接計算する)

方針

特性方程式で2つの値を求め、
直交行列を回転行列の形で決定する。
円の式には逆変換を直接代入し、行列の回転角から周期を求める。

解答

(1) det(AkE)=(32k)214=(k1)(k2).よってk1=1,k2=2.(2)

PP=E かつ a,c>0 より、条件に合う回転行列をP=(cosθsinθsinθcosθ)と置ける。関係 PA=BP の第1行は固有値1、第2行は固有値2の
方向を表すので(cosθ,sinθ)(1,1),(sinθ,cosθ)(1,1).a,c>0 から θ=π/4 でありP=12(1111).(3)

逆変換はx=x+y2,y=x+y2.これを x2+(y1)2=1 に代入して整理すると(x+12)2+(y12)2=1.中心 (1/2,1/2)、半径1の円である。

(4)

P は角 π/4 の回転を表すので、Pn=E となる最小の自然数はnπ4=2πを満たすn=8である。

総評

難度5、計算量5。行列の計算と図形的な回転の読み替えをつなぐ問題である。採点上は、(1,1)T(1,1)T に対する A の作用を直接示すこと、P の行が長さ1で直交しているため PP=E になることを確認することが重要である。(3)は円全体を式変形するより、中心と半径が回転でどう移るかを見ると短い。目安は18分程度。 2つの解法は標準的な答案手順と、別の構造から検算できる経路に分けた。必要性と十分性、場合分け、等号条件を明示し、積分・総和・極限と主要な分数は読みやすい表示形式に統一した。

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出典: 名古屋大学 2001年度 後期 数学 第1問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。