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名古屋大学 2003年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第1問

2次方程式x2pxq=0は実数解αβを持つものとする.
座標平面上の点列{Pn(an,bn)} (n=0,1,2,)を次のように定める.(a0,b0)=(0,0),(anbn)=(qppqp2+q)(an1bn1)+(1α)(n=1,2,3,)(1) P2P3の座標をαのみを用いて表せ.

(2) Pnの座標をαのみを用いて表せ.

(3) nのとき,
Pn(an,bn)がある点P(a,b)に収束するための必要十分条件を
αに関する条件として与え,
その点P(a,b)を求めよ.

難易度6/ 10計算量6/ 10目安20

行列数列 漸化式の変形、特性方程式、極限計算

方針

α が方程式 x2pxq=0 の解であることから、α2=pα+q を使う。列ベクトル (1,α) に行列を掛けると α2(1,α) になることを直接計算で示せば、毎回足されるベクトルが同じ方向のまま 1,α2,α4, 倍されていく。したがって Pn は等比数列の和で表される。収束条件は 1+α2++α2n2 が収束する条件、すなわち α<1 である。

解答

(1) α は方程式 x2pxq=0 の解なので α2=pα+q である。ここでu=(1α),M=(qppqp2+q)とおく。するとMu=(q+pαpq+(p2+q)α)である。第1成分は q+pα=α2 であり、第2成分はpq+p2α+qα=p(q+pα)+qα=pα2+qα=α(pα+q)=α3である。したがってMu=(α2α3)=α2uである。 P1 の位置ベクトルは u であるから、(a2b2)=Mu+u=(1+α2)uである。よって P2=(1+α2, α+α3) である。さらに(a3b3)=M{(1+α2)u}+u=(1+α2)α2u+u=(1+α2+α4)uだから P3=(1+α2+α4, α+α3+α5) である。

(2)
(1)の計算より、Mju=α2ju が成り立つ。点 Pn の位置ベクトルを vn とすると、漸化式は vn=Mvn1+u,v0=0 である。したがって vn=u+Mu+M2u++Mn1u であり、vn=(1+α2+α4++α2n2)u である。

よってPn=(sn,αsn),sn=1+α2+α4++α2n2である。α21 のときは sn=1α2n1α2 とも書ける。

(3) Pn=(sn,αsn) なので、Pn が収束するためには sn が収束することが必要十分である。ここで sn は公比 α2 の等比数列の部分和である。 α<1 のとき、α2n0 だから sn11α2 であり、Pn は収束する。

一方、α1 のときは α21 である。α2=1 なら sn=n となって発散し、α2>1 なら項が大きくなって部分和も発散する。したがって収束しない。

よって収束の必要十分条件は α<1 であり、このとき収束先は P(11α2,α1α2) である。

別解

解法2(成分表示を帰納法で確かめる)

方針

行列の固有ベクトルという言葉を使わず、Pn=(sn,αsn) と予想して漸化式へ代入する。sn の等比和だけを追えばよい。

解答

(1)

α2=pα+q である。漸化式へ (a0,b0)=(0,0) を代入するとP1=(1,α).さらに直接計算してP2=(1+α2,α+α3),P3=(1+α2+α4,α+α3+α5).(2)sn=1+α2++α2n2とおき、Pn=(sn,αsn) を示す。n=1 では明らかである。Pn1=(sn1,αsn1) と仮定すると、第1成分はqsn1+pαsn1+1=α2sn1+1=sn.第2成分はpqsn1+(p2+q)αsn1+α=α(q+pα)sn1+α=α3sn1+α=αsn.よって帰納法によりPn=(sn,αsn)である。

(3)

sn は公比 α2 の等比数列の部分和である。したがって収束の必要十分条件はα<1.このときsn11α2,ゆえにP(11α2,α1α2)へ収束する。

総評

行列漸化式を、根の関係 α2=pα+q によって等比数列の和へ変形する問題である。目安時間は18〜22分。抽象的な言葉を使わなくても、M(1,α)T=α2(1,α)T を直接計算すれば十分である。以後は毎回同じ方向のベクトルが 1,α2,α4, 倍されて加わる。収束条件では α2=1 の場合を落とさず、α<1 だけが必要十分であることを明示したい。

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出典: 名古屋大学 2003年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。