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名古屋大学 2001年度 前期日程 第2次学力試験 確率・数列理系数学 第4問(b)

数直線上の原点Oから出発して,
硬貨を投げながら駒を整数点上動かすゲームを考える.
毎回硬貨を投げて表が出れば+1,裏が出れば1,それぞれ駒を進めるとする.
ただし,点1または点3に着いたときは以後そこにとどまるものとする.

(1) k回目に硬貨を投げたあと,駒が点1にある確率を求めよ.

(2) k回目に硬貨を投げたあと,駒がある点Xkの期待値E[Xk]を求めよ.

難易度6/ 10計算量5/ 10目安18

確率数列 状態分類確率漸化式、期待値

方針

吸収点 1,3 を除く一時的な状態 0,1,2 だけを追う。点1にいるのは奇数回後だけで、点1から2回進むと、吸収されずに再び点1へ戻る確率が 1/2 であるため、P(X2r+1=1)=1/2r+1 となる。期待値は各状態で次の位置の平均が現在位置に等しいことを確認すれば、E[Xk+1]=E[Xk] となり、初期値0から常に0である。

解答

(1)

駒は 1 または 3 に着くとそこにとどまる。点1にいるためには、まだ吸収されておらず、0,1,2 の間を動いている必要がある。

まず、原点0から出発するので、偶数回後には点0または点2、あるいは吸収点にあり、点1にいることはない。したがって P(Xk=1)=0(k が偶数) である。

奇数回後を考える。k=2r+1 とおく。1回後に点1にいる確率は 12 である。点1にいる状態から2回硬貨を投げた後、再び点1にいるためには 101 または 121 となればよい。それぞれの確率は 1/4 なので、2回後に再び点1へ戻る確率は 14+14=12 である。

したがって、点1にいる奇数時刻ごとに確率は 1/2 倍される。よって P(X2r+1=1)=12(12)r=12r+1 である。

以上よりP(Xk=1)={0(k が偶数),12r+1(k=2r+1, r=0,1,2,)である。

(2)

各位置で、次の1回後の位置の平均を調べる。吸収点 1,3 では次も同じ点にとどまるので、平均は現在位置に等しい。

また、一時的な状態については 01,1 がそれぞれ確率 1/2 で起こるので、次の位置の平均は 1+12=0 である。

同様に、点1では次に0または2へ進むので平均は 0+22=1 であり、点2では次に1または3へ進むので平均は 1+32=2 である。

つまり、どの状態にいても「次の位置の平均」は現在位置そのものに等しい。したがって E[Xk+1]=E[Xk] である。初めは X0=0 なので E[Xk]=0(k=0,1,2,) である。

別解

解法2(初到達時刻ごとに確率を足す)

方針

点1にいる確率から、偶数時刻の点0・2の確率を求める。
吸収点 1,3 へ初めて入る各時刻の確率を等比和で足し、
全分布から期待値が0になることを直接確認する。

解答

(1)

点1にいるのは奇数時刻だけである。1回後の確率は 1/2 であり、
点1から2回後に吸収されず点1へ戻る確率は14+14=12.よってP(Xk=1)={0(k が偶数),12r+1(k=2r+1, r0).(2)

r1 のとき、時刻 2r に点0、点2にいる確率はともに12r+1.1 へ初めて入る確率は、時刻1では 1/2
時刻 2j+1 (j1) では 2j2 である。
点3へ初めて入る確率は、時刻 2j+1 (j1)
同じく 2j2 である。

時刻 2r+1 ではSr=j=1r12j+2=14(12r)と置くとE[X2r+1]=(12+Sr)+3Sr+12r+1=0.時刻 2r (r1) でもE[X2r]=(12+Sr1)+3Sr1+212r+1=0.E[X0]=0 でもあるから、すべての k0E[Xk]=0.

総評

難度6、計算量5。吸収壁のあるランダムウォークだが、点1にいる確率は奇数時刻だけを見れば簡潔に出る。採点上は、偶数回後には点1にいないこと、点1から2回で点1へ戻る確率が 1/2 であることを明確にするのが要点である。(2)は公平な増減が吸収後も壊れないことを各状態で確認すると安全で、境界が 13 で非対称でも期待値は0に保たれる。目安は18分程度。 2つの解法は標準的な答案手順と、別の構造から検算できる経路に分けた。必要性と十分性、場合分け、等号条件を明示し、積分・総和・極限と主要な分数は読みやすい表示形式に統一した。

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出典: 名古屋大学 2001年度 前期 数学 第4問(b)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。