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名古屋大学 2004年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第4問

n枚のカードがあり,そのうちの1枚にだけ「当たり」の印がついている.ただし,n3である.
最初,甲と乙の2人の前に,このn枚のカードが伏せて並べてある.
以下の一連の手順により,甲がカードを1枚取得する.
ただし,甲は手順が終了して初めてカードの「当たり」の印の有無を見ることができ,
それまでは見ることができないものとする.

〔手順〕

〔1〕 甲がカードを1枚取る.

〔2〕 乙が残ったカードを調べ,その中から印のないものを1枚取り除く.

〔3〕 甲は手持ちのカードを,並べてあるカードのうちの1枚と交換してもよい.

〔4〕 乙は〔2〕で取り除いたカードを戻し,
戻されたカードがどこにあるか甲にわからないように,カードを並べ替える.

〔5〕 甲は手持ちのカードを,並べてあるカードのうちの1枚と交換してもよい.

次の各問に答えよ.

(1) 〔3〕で甲がカードを交換した場合としなかった場合で,
どちらが〔3〕が終了した時点で甲の手持ちのカードが「当たり」である確率が高いか.

(2) 手順の終了時に甲が取得したカードが「当たり」である確率を最も高くするカードの交換の仕方
(〔3〕と〔5〕のそれぞれでカードを交換するかどうか)を求めよ.

(3) 手順の終了時に甲が取得したカードが「当たり」である確率を最も低くするカードの交換の仕方を求めよ.

(4) 〔4〕で,乙が戻すカードに,ある一定の確率pで「当たり」の印をつけるものとする.
このとき,上の問(2)で求められたカードの交換の仕方によって甲が取得したカードが「当たり」である確率をpA
問(3)で求められたカードの交換の仕方によって取得したカードが「当たり」である確率をpBとする.
pB>pAとなるためのpの条件を求めよ.

難易度7/ 10計算量7/ 10目安30

確率 条件付き確率、場合分け、状態分類

方針

乙は必ず外れカードを1枚取り除くので、手順〔3〕はモンティ・ホール型の比較になる。〔3〕で交換しない場合の当たり確率は 1n、交換する場合は最初に外れを取っていた確率と、残った n2 枚から当たりを選ぶ確率の積で求める。〔5〕では、手順〔4〕で外れカードが戻されて残りが n1 枚に戻るため、現在手持ちが外れである場合だけ交換で当たりを引ける。(4)では戻されたカードが新たに当たりになる可能性を、現在の手持ちが当たりの場合と外れの場合に分けて数える。

解答

(1)

〔3〕で交換しない場合、甲の手持ちが当たりである確率は、最初に当たりを取っていた確率のままなので 1n である。

一方、〔3〕で交換する場合を考える。最初に甲が外れを取っていた確率は n1n である。このとき、乙は残ったカードの中から外れを1枚取り除くので、並べてあるカードは n2 枚になり、その中に当たりが1枚含まれる。甲がその中から1枚と交換するとき、当たりを取る確率は 1n2 である。したがって交換した場合の当たり確率は n1n1n2=n1n(n2) である。 n1n(n2)1n=1n(n2)>0 だから、〔3〕では交換した方が当たりである確率が高い。

(2)

〔3〕で交換した後の当たり確率を h=n1n(n2) とおく。これは(1)より 1n より大きい。

この状態で〔5〕でも交換すると、現在の手持ちが当たりである場合は交換によって外れになる。現在の手持ちが外れである場合だけ、並べてある n1 枚の中の当たりを選べばよい。したがって〔5〕で交換した後の当たり確率は 1hn1 である。これと h を比べると h1hn1=nh1n1=1(n1)(n2)>0 である。よって、〔3〕で交換した後に〔5〕でさらに交換するのは不利である。

また、〔3〕で交換しない場合は当たり確率が 1n であり、〔5〕で交換しても、最初の手持ちが外れだった場合に残り n1 枚から当たりを選ぶだけなので確率はやはり 1n である。したがって最も高くする方法は 〔3〕で交換し、〔5〕では交換しない である。

(3)

(2) で見たように、〔3〕で交換しない場合は、〔5〕で交換してもしなくても当たり確率は 1n である。一方、〔3〕で交換し、さらに〔5〕でも交換する場合の当たり確率は 1hn1 である。これは 1n1hn1=nh1n(n1)=1n(n1)(n2)>0 より 1n より小さい。

したがって、手順の終了時に当たりである確率を最も低くするには 〔3〕で交換し、〔5〕でも交換する とすればよい。

(4)

問(2)の方法では〔5〕で交換しないので、〔4〕で戻されたカードに新たな印がついても甲の手持ちには影響しない。したがって pA=h=n1n(n2) である。

問(3)の方法では〔3〕で交換し、〔5〕でも交換する。〔3〕後に甲の手持ちが当たりである確率は h、外れである確率は 1h である。

もし手持ちが当たりであるなら、並べてあるカードの中に本来の当たりはない。ただし、〔4〕で戻されたカードに確率 p で印がつくので、〔5〕で交換して当たりを得る確率は pn1 である。

もし手持ちが外れであるなら、並べてあるカードの中には本来の当たりが1枚ある。さらに、戻されたカードに確率 p で印がつく。したがって、〔5〕で選ぶカードが当たりである確率は 1+pn1 である。

よって pB=hpn1+(1h)1+pn1=1h+pn1 である。pB>pA1h+pn1>h と同値である。整理すると p>nh1 であり、h=n1n(n2) を代入して p>n1n21=1n2 である。確率の範囲も含めると条件は1n2<p1である。これはn4では実現できるが、n=3では条件を満たすpは存在しない。

別解

解法2(4方針の比較表)

方針

〔3〕直後の当たり確率をhとし、〔5〕の交換をT(r)=1rn1と表す。4方針を表で比較する。

解答

(1)

交換しなければ1nである。交換する場合はh=n1n1n2=n1n(n2)であり、h1n=1n(n2)>0だから交換する方が高い。

(2)

〔5〕前の当たり確率がrなら、交換後はT(r)=1rn1である。よって〔3〕〔5〕最終確率交換しない交換しない1n交換しない交換するT ⁣(1n)=1n交換する交換しないh交換する交換するT(h)=1hn1である。h>1n>1hn1より、
最大は「〔3〕で交換し、〔5〕では交換しない」である。

(3)

同じ表から、最小は「〔3〕でも〔5〕でも交換する」である。

(4)

最大方針ではpA=hである。最小方針を場合分けするとpB=hpn1+(1h)1+pn1=1h+pn1.したがってpB>pA    p>1n2.ゆえに1n2<p1である。
n=3ではこの範囲は空である。

総評

難度7、計算量7。目安時間は28〜35分。〔3〕後の当たり確率をh=n1n(n2)と置き、4方針を表で比較すると安全である。〔4〕で戻す札に印を加える場合は、印付き札が2枚になり得る点を場合分けへ反映する。結論は1n2<p1であり、n=3では該当値がない。

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出典: 名古屋大学 2004年度 後期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。