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名古屋大学 2005年度 前期日程 第2次学力試験 確率・場合の数理系数学 第4問(a)

選択問題 (a)

整数に値をとる変数xの値が,以下の規則で変化する.

(i) ある時刻でx=m (m0)のとき,
1秒後にx=m+1x=m1である確率は
ともに12である.

(ii) ある時刻でx=0のとき,
1秒後にx=1である確率はq
x=1である確率は1qである(0q1)

x=0から始めて,n秒後(n=0,1,2,)x=mである確率をpn(m)とする.

(1) p3(1)+p3(1)を求めよ.

(2) すべての自然数nに対し次がなりたつことを示せ:
どんな整数mについてもpn(m)+pn(m)qにはよらない.

(3) pn(0)を求めよ.

難易度6/ 10計算量6/ 10目安25

確率場合の数 確率漸化式対称性の利用数え上げ

方針

原点から出るときだけ確率が q1q に偏るが,mm の確率を足すとこの偏りは消える。(1)は3秒後までを直接追って確認する。(2)は pn(m)+pn(m)q によらないことを時刻に関する帰納法で示す。特に m=1 では原点からの遷移が現れるが,q+(1q)=1 になる。(3)は(2)により pn(0)q によらないので,計算しやすい q=12 の通常の対称移動として数える。

解答

(1)

0秒後は x=0 である。1秒後は p1(1)=q,p1(1)=1q である。

2秒後に x=0 へ来る確率は,1 から左へ動く場合と 1 から右へ動く場合を合わせて p2(0)=12q+12(1q)=12 である。また p2(2)=12q,p2(2)=12(1q) である。

3秒後に x=1 へ来るのは,0から1へ出る場合と2から1へ戻る場合である。したがって p3(1)=qp2(0)+12p2(2)=q2+q4=3q4 である。同様に p3(1)=(1q)p2(0)+12p2(2)=3(1q)4 である。よって p3(1)+p3(1)=3q4+3(1q)4=34 である。

(2) rn(m)=pn(m)+pn(m) とおく。m=0 のときは rn(0)=2pn(0) である。 n=0 では p0(0)=1,p0(m)=0(m0) なので,すべての r0(m)q によらない。

ある n で,すべての整数 m について rn(m)q によらないと仮定する。まず m2 では,mm はどちらも原点ではないのでrn+1(m)=pn+1(m)+pn+1(m)=12pn(m1)+12pn(m+1)+12pn(m+1)+12pn(m1)=12rn(m1)+12rn(m+1)である。右辺は仮定により q によらない。

次に m=1 では,原点から出る遷移が関係する。計算するとrn+1(1)=pn+1(1)+pn+1(1)={qpn(0)+12pn(2)}+{(1q)pn(0)+12pn(2)}=pn(0)+12rn(2)である。ここで pn(0)=rn(0)2 なので,右辺は q によらない。

最後に m=0 では pn+1(0)=12pn(1)+12pn(1)=12rn(1) であるから,これも q によらない。以上より,帰納法によってすべての自然数 npn(m)+pn(m)q によらない。

(3)

(2) より pn(0)q によらない。したがって,計算しやすい q=12 の場合を考えればよい。このとき,各秒で右または左へ進む確率はいずれも 12 である通常の対称な移動と同じである。 n が奇数のとき,右へ進んだ回数と左へ進んだ回数の合計が奇数なので,両者が等しくなることはない。したがって pn(0)=0(n が奇数) である。 n=2r のとき,0にいるためには,2r 回のうち右へ進む回数と左へ進む回数がともに r 回であればよい。そのような並びは (2r)!(r!)2 通りあり,各並びの確率は (12)2r である。よって p2r(0)=(2r)!(r!)222r である。

以上よりpn(0)={0(n が奇数),(2r)!(r!)222r(n=2r)である。

別解

解法2(絶対値の推移)

方針

新しい変数 y=x を考える。原点からは必ず y=1 へ進み、正の位置では隣の2状態へ半分ずつ進むため、y の推移は q を含まない。これで左右の確率和の独立性を一度に示し、原点確率は対称歩行へ帰着する。

解答

(1)

y=x とする。y=0 からは確率1で y=1 へ進み、y1 では確率 12 ずつで y1,y+1 へ進む。したがって3秒後に y=1 である確率は、2秒後の y=0,2 から来る確率の和で12+1212=34.ゆえにp3(1)+p3(1)=34.(2)

x の遷移確率には q が現れないので、帰納的に n 秒後の x の分布も q によらない。m>0 ならpn(m)+pn(m)=Pr(x=m)であり、m=0 なら左辺は 2pn(0)=2Pr(x=0) である。負の mm に直せば同じである。よって任意の整数 m について確率和は q によらない。

(3)

特に pn(0)q によらないから、q=12 としてよい。n が奇数なら原点へ戻れずpn(0)=0.n=2r なら、右向きと左向きがそれぞれ r 回である。並びの数は(2r)!(r!)2で、各並びの確率は 22r だからp2r(0)=(2r)!(r!)222r.したがってpn(0)={0(n が奇数),(2r)!(r!)222r(n=2r).

総評

難度6、計算量6。原点からの移動だけ偏っている確率過程を、左右対称な和 pn(m)+pn(m) で処理する問題で、目安は25分程度である。(2)では m=1 の場合だけ原点からの q1q が現れるため、ここを別に書くと論証が明確になる。(3)は pn(0)q によらないことを使って q=12 として数えるのが最短である。奇数秒では0に戻れないこと、偶数秒では右左の回数が等しいことを明記すれば、中央の二項係数が自然に出る。

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出典: 名古屋大学 2005年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。