方針
原点から出るときだけ確率が と に偏るが, と の確率を足すとこの偏りは消える。(1)は3秒後までを直接追って確認する。(2)は が によらないことを時刻に関する帰納法で示す。特に では原点からの遷移が現れるが, になる。(3)は(2)により も によらないので,計算しやすい の通常の対称移動として数える。
解答
(1)
0秒後は である。1秒後は である。
2秒後に へ来る確率は, から左へ動く場合と から右へ動く場合を合わせて である。また である。
3秒後に へ来るのは,0から1へ出る場合と2から1へ戻る場合である。したがって である。同様に である。よって である。
(2) とおく。 のときは である。 では なので,すべての は によらない。
ある で,すべての整数 について が によらないと仮定する。まず では, と はどちらも原点ではないのでである。右辺は仮定により によらない。
次に では,原点から出る遷移が関係する。計算するとである。ここで なので,右辺は によらない。
最後に では であるから,これも によらない。以上より,帰納法によってすべての自然数 で は によらない。
(3)
(2) より は によらない。したがって,計算しやすい の場合を考えればよい。このとき,各秒で右または左へ進む確率はいずれも である通常の対称な移動と同じである。 が奇数のとき,右へ進んだ回数と左へ進んだ回数の合計が奇数なので,両者が等しくなることはない。したがって である。 のとき,0にいるためには, 回のうち右へ進む回数と左へ進む回数がともに 回であればよい。そのような並びは 通りあり,各並びの確率は である。よって である。
以上よりである。
別解
解法2(絶対値の推移)
方針
新しい変数 を考える。原点からは必ず へ進み、正の位置では隣の2状態へ半分ずつ進むため、 の推移は を含まない。これで左右の確率和の独立性を一度に示し、原点確率は対称歩行へ帰着する。
解答
(1)
とする。 からは確率1で へ進み、 では確率 ずつで へ進む。したがって3秒後に である確率は、2秒後の から来る確率の和でゆえに(2)
の遷移確率には が現れないので、帰納的に 秒後の の分布も によらない。 ならであり、 なら左辺は である。負の も に直せば同じである。よって任意の整数 について確率和は によらない。
(3)
特に は によらないから、 としてよい。 が奇数なら原点へ戻れず なら、右向きと左向きがそれぞれ 回である。並びの数はで、各並びの確率は だからしたがって
総評
難度6、計算量6。原点からの移動だけ偏っている確率過程を、左右対称な和 で処理する問題で、目安は25分程度である。(2)では の場合だけ原点からの , が現れるため、ここを別に書くと論証が明確になる。(3)は が によらないことを使って として数えるのが最短である。奇数秒では0に戻れないこと、偶数秒では右左の回数が等しいことを明記すれば、中央の二項係数が自然に出る。