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名古屋大学 2006年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第4問

コインを投げた結果に基づきxy平面上の点Q(x,y)を動かすものとする.
最初,点Qは原点にあり,
コインを投げて表がでればx座標を1増加させ,裏が出ればy座標を1増加させる.
Qが直線x=aあるいは直線y=aのいずれかの上に達するまでこの試行を繰り返す.
つぎの各問に答えよ.
ただし,aは正の整数であり,コインの表と裏の出る確率は等しいものとする.

(1) コインを投げる回数Nの最小値Kと最大値Laを用いて表せ.

(2) a=3のとき,コインを投げる回数Nが4である確率を求めよ.

(3) 任意のaに対して,コインを投げる回数N
n (KnL)である確率を求めよ.

(4) (3)で求めた確率をpnとする.pn+1pnを求めよ.
ただし,KnL1とする.

(5) (4)の結果を利用し,コインを投げる回数Nの期待値をaを用いて表せ.

難易度7/ 10計算量7/ 10目安25

確率場合の数 数え上げ、期待値、計算整理

方針

停止するのは,表の回数または裏の回数が初めて a に達した瞬間である。最小回数は同じ面が続く場合,最大回数は両方が a1 回ずつに近づいてから最後に一方が a に達する場合で決まる。N=n では最後の1回で一方が a 回目になり,その直前にはその面が a1 回,他方が na 回出ている。期待値では nn1Ca1=anCa を使い,残る和を「a+1 回目の表がいつ出るか」の数え上げで評価する。

解答

(1)
表または裏のどちらかが a 回出た時点で止まる。同じ面が a 回続けば a 回で止まるので K=a である。一方,2a2 回までは表が a1 回,裏が a1 回という状態がありうる。しかし 2a1 回投げると,表と裏の回数の和が 2a1 なので,少なくとも一方は a 回以上になる。したがって L=2a1 である。

(2) a=3N=4 となるには,4回目で表または裏が3回目になればよい。最後が表の場合,初めの3回のうち表が2回,裏が1回であり,その並び方は 3C2=3 通りである。最後が裏の場合も同じく3通りである。全事象は 24 通りだから 624=38 である。

(3) an2a1 とする。N=n となるには,最後の1回で一方の座標が a に達し,他方の座標は na で止まっている必要がある。最後が表の場合,初めの n1 回のうち表が a1 回,裏が na 回であればよい。この並び方は n1Ca1 通りである。最後が裏の場合も同数で,両者は重ならない。したがって pn=P(N=n)=2n1Ca12n である。

(4)
(3)の式からpn+1pn=2nCa12n+12n1Ca12n=12nCa1n1Ca1.ここでnCa1n1Ca1=nna+1なので pn+1pn=n2(na+1) である。

(5)
期待値はE(N)=n=a2a1npn=n=a2a1n2n1Ca12nである。ここで nn1Ca1=anCa を用いると E(N)=2an=a2a1nCa2n となる。

この和を評価する。2a 回のコイン投げを考え,(a+1) 回目の表がちょうど n+1 回目に出る事象を考える。これは,初めの n 回に表がちょうど a 回あり,(n+1) 回目が表であることと同じなので,その確率は nCa2n+1 である。n=a,a+1,,2a1 について足すと,2a 回のうち表が少なくとも a+1 回出る確率になる。対称性よりP(表が少なくとも a+1 回)=12(12aCa22a)である。したがってn=a2a1nCa2n+1=12(12aCa22a)であり,両辺を2倍してn=a2a1nCa2n=12aCa22aを得る。よって E(N)=2a(12aCa22a) である。

(5) の検算(停止前の状態を数える方法)

期待値は E(N)=m=02a2P(N>m) としても求められる。m<a では必ず N>m であり,am2a2 では,m 回後の表の回数を h とすると,まだ止まっていない条件は ma+1ha1 である。したがってE(N)=a+m=a2a2h=ma+1a1mCh2mとも表せる。この二重和をパスカルの関係で外側から畳むと上と同じ 2a(12aCa/22a) に戻り,停止前の状態を数える見方でも同じ結果が得られる。

図は a=5 の一例.停止時刻は aN2a1 に限られる.

総評

最後の1回で初めて a 回目に到達する,という停止時刻の読み替えが中心である。目安は25分程度。(3)で最後が表の場合と裏の場合を分け,直前の n1 回に何が何回出ているかを明記すれば,確率式は自然に出る。(5)は和の評価が山場で,単に「整理すると」とせず,(a+1) 回目の表が出る時刻を数える説明を入れると答案の説得力が高い。

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出典: 名古屋大学 2006年度 後期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。