Evolton

名古屋大学 2007年度 前期日程 第2次学力試験 確率・数列文系数学 第3問(b)

袋の中に赤と白の玉が1個ずつ入っている.
「この袋から玉を1個取り出して戻し,出た玉と同じ色の玉を袋の中に1個追加する」
という操作をN回繰り返した後,赤の玉が袋の中にm個ある確率をpN(m)とする.

(1) p3(m)を求めよ.

(2) 一般のNに対しpN(m)を求めよ.

難易度6/ 10計算量4/ 10目安15

確率数列 確率漸化式数学的帰納法状態分類

方針

赤玉の個数を状態とする。N回後の全体はN+2個であり,次に赤玉数がmとなる直前の状態はmまたはm1の二つだけである。この遷移から漸化式を作る。(1)の小さい場合から一様分布pN(m)=1/(N+1)を予想し,端点も含めて帰納法で証明する。

解答

(1)

1回後から順に遷移を計算するとp1(1)=p1(2)=12,p2(1)=p2(2)=p2(3)=13,p3(1)=p3(2)=p3(3)=p3(4)=14.したがってp3(m)={14(m=1,2,3,4),0(それ以外).(2)

N回後の全体の玉数はN+2個である。次の操作後に赤玉がm個となるのは,直前も赤玉が m 個で,白を引く,確率 N+2mN+2,直前は赤玉が m1 個で,赤を引く,確率 m1N+2の2場合である。したがってpN+1(m)=N+2mN+2pN(m)+m1N+2pN(m1).(1)ただし範囲外の確率は0とする。pN(m)=1N+1(1mN+1)(2)を数学的帰納法で示す。N=1ではすでに確認した。

N=kで(2)が成り立つと仮定する。2mk+1では(1)よりpk+1(m)=k+2mk+21k+1+m1k+21k+1=1k+2.端点についてもpk+1(1)=pk+1(k+2)=1k+2.よってN=k+1でも(2)が成り立つ。

以上からpN(m)={1N+1(1mN+1),0(それ以外)である。

各段で取り得る赤玉数に確率が一様に分かれる。

別解

解法2(出現順序を数える)

方針

N回中に赤を引く回数をk=m1とする。赤・白の出る順序を一つ固定すると,赤を引いたときの分子は順に1,2,,k,白も同様に1,2,,Nkとなるため,確率は順序によらない。固定順序の確率と順序数NCkを掛ける。

解答

(1)

N=3として以下の一般式を用いるとp3(m)=14(1m4).したがってm=1,2,3,4でいずれも1/4,それ以外では0である。

(2)

N回のうち赤が引かれる回数をk=m1とする。赤がk回,白がNk回出る順序を一つ固定する。

赤が引かれるたび,分子に現れる赤玉数は順に1,2,,kとなる。白についても1,2,,Nkとなる。一方,各回の直前の全玉数は2,3,,N+1である。したがって,固定した一つの順序が起こる確率はk!(Nk)!23(N+1)=k!(Nk)!(N+1)!.これは赤白の並び方によらない。赤が出る位置の選び方はNCk通りだからpN(k+1)=NCkk!(Nk)!(N+1)!=1N+1.k=m1よりpN(m)={1N+1(1mN+1),0(それ以外)を得る。

総評

難度6,計算量4。追加後の玉数に応じて次の確率が変わるPólya型の問題だが,2色を1個ずつから始めるため最終分布は一様になる。解法1は状態遷移と帰納法を答案化しやすく,解法2は一様になる理由を直接説明する。帰納法では中央の状態だけでなく端点m=1,N+2も処理すること,数え上げでは固定順序の確率が順序によらない理由を書くことが採点点である。(1)は値の定義域まで明記した。15分程度が目安である。

冊子PDFで見る名大の確率の問題で問題集を作る

出典: 名古屋大学 2007年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。