方針
ωが1でない3乗根であること,すなわちω3=1かつ1+ω+ω2=0を使う。(3)はα=ω+2,β=ω2+2とおき,和と積が整数であることからαn+βnの漸化式を作る。
解答
(1) ω=2−1+3iであるから,ω2+ω+1=0,ω3=1である。したがってω2+ω4=ω2+ω=−1である。またω5=ω2,ω10=ωであるからω5+ω10=ω2+ω=−1である。
(2)
nを3で割った余りで場合分けする。nが3の倍数のとき,ωn=1,ω2n=1であるからωn+ω2n=2である。
nが3で割って1余るとき,ωn=ω,ω2n=ω2であるから,和は−1である。
nが3で割って2余るとき,ωn=ω2,ω2n=ω4=ωであるから,和は−1である。
よってωn+ω2n={2−1(nが3の倍数),(nが3の倍数でない)である。
(3)
α=ω+2,β=ω2+2とおく。するとα+β=ω+ω2+4=3であり,αβ=(ω+2)(ω2+2)=ω3+2(ω+ω2)+4=1−2+4=3である。
Sn=αn+βnとおく。α,βはともに方程式X2−3X+3=0を満たすから,n≧1についてSn+2=3Sn+1−3Snである。またS1=α+β=3,S2=(α+β)2−2αβ=9−6=3である。したがって漸化式から,数学的帰納法によりすべての正の整数nについてSnは整数である。
ゆえに(ω+2)n+(ω2+2)nは整数である。
別解
別解(二項展開で(2)を利用する)
方針
(1) (2) は ω2+ω+1=0,ω3=1 だけで指数を整理する。(3) は2つの式を二項展開して同じ次数の項をまとめ,係数に現れる ωk+ω2k が (2) により整数であることを使う。
解答
(1) 与えられた ω を代入するとω2+ω+1=0,ω3=1.したがってω2+ω4=ω2+ω=−1,ω5+ω10=ω2+ω=−1.(2) n を3で割った余りが0なら ωn=ω2n=1 である。余りが1または2なら,ωn と ω2n は順序を除いて ω,ω2 である。よってωn+ω2n={2−1(n が 3 の倍数),(n が 3 の倍数でない)である。
(3) 二項定理により(ω+2)n=k=0∑nnCk2n−kωk,(ω2+2)n=k=0∑nnCk2n−kω2k.辺々を加えると(ω+2)n+(ω2+2)n=k=0∑nnCk2n−k(ωk+ω2k).(2) と同じ考察は k=0 にも成り立ち,括弧内は 2 または −1 である。また nCk と 2n−k は整数である。したがって右辺の各項は整数であり,その有限和も整数である。ゆえに,すべての正の整数 n について(ω+2)n+(ω2+2)nは整数である。
総評
難度4,計算量4。想定時間は12分程度。優先度は「必ず完答したい」。ω3=1 と 1+ω+ω2=0 を使う前半は確実な得点源である。差がつくのは (3) で,共役な2数の和を展開せず,和と積から整数係数の漸化式を作れるかどうかである。採点上は初期値,漸化式,数学的帰納法の結論を明記したい。時間が不足しても (1)(2) は取り切る。
冊子PDFで見る岡山大学の複素数平面の問題で問題集を作る
出典: 岡山大学 2016年度 前期 文系数学 第1問(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。