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大阪大学 1991年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第3問

座標平面上で半径r (0<r<1)の円板Dが,原点を中心とする半径1の円に内接しながらすべらずにころがるとき,D上の定点Pの動きを調べる.ただしDの中心は原点のまわりを反時計まわりに進むものとする.はじめにDの中心と点Pはそれぞれ(1r,0)(1r+a,0)の位置にあるものとする(0<ar)

(1) Dが長さθだけころがった位置にきたとき,点Pの座標(x,y)θを用いて表せ.

(2) Dがころがり続けるとき,点Pがいつか最初の位置に戻るためのrに対する条件を求めよ.

(3) r=12のとき,点Pの軌跡を求め,その概形を図示せよ.

難易度7/ 10計算量6/ 10目安22

図形と方程式三角関数 軌跡回転・拡大、パラメータ処理

方針

中心 C の公転と,円板自身の自転を分けて考える。中心は半径 1r の円を角 θ だけ進むので ((1r)cosθ,(1r)sinθ) となる。すべらない条件から,円板は内側でころがるため時計まわりに (1r)θ/r だけ回る。(2) では点 P が初期位置に戻るとき,二つのベクトルの和が長さの和を保つことから,公転角と自転角がともに 2π の整数倍である必要があると示す。(3) は r=1/2 を代入して楕円,ただし a=1/2 では線分へ退化することを確認する。

解答

(1)
円板 D の中心を C とする。はじめ C(1r,0) にあり,原点を中心とする半径 1r の円を反時計まわりに進む。長さ θ だけころがったとき,外側の円の半径は 1 なので,接点に対応する中心角は θ である。したがって C=((1r)cosθ,(1r)sinθ) である。

次に,C から見た点 P の相対位置を考える。はじめ PC から右向きに距離 a の位置にある。円板がすべらずに内側をころがるので,円板の円周上で進んだ長さは (1r)θ であり,これが半径 r の円板の自転による弧の長さに等しい。したがって自転角の大きさは (1r)θr である。内側でころがるため自転の向きは時計まわりなので,相対ベクトルは (acos1rrθ,asin1rrθ) となる。

よって点 P の座標は{x=(1r)cosθ+acos1rrθ,y=(1r)sinθasin1rrθである。

(2)
P の位置を複素数の形で見ると,(1) は z=(1r)eiθ+aei1rrθ と同じ内容である。初期位置は z0=1r+a である。

P が初期位置に戻るなら (1r)eiθ+aei1rrθ=1r+a である。左辺の絶対値は三角不等式より (1r)eiθ+aei1rrθ(1r)+a であるが,右辺の絶対値はちょうど (1r)+a である。等号が成り立つには,二つのベクトルがともに正の実数方向を向く必要がある。したがって eiθ=1,ei1rrθ=1 でなければならない。

これは,ある正の整数 m と整数 l を用いて θ=2πm,1rrθ=2πl と書けることと同じである。したがって 1rr=lm が有理数であることが必要である。

逆に,1rr が有理数なら,1rr=l/m と書けるので,θ=2πm とすれば eiθ=1,ei1rrθ=1 となり,点 P は初期位置に戻る。

よって条件は 1rrQ である。これは 1r1Q と同値なので,r が有理数であることと同値である。したがって求める条件は r が有理数であること である。

(3) r=12 のとき,1rr=1 である。したがって (1) より x=12cosθ+acosθ=(a+12)cosθ であり,y=12sinθasinθ=(12a)sinθ である。 0<a<12 のときは,θ を消去してx2(a+12)2+y2(12a)2=1を得る。これは原点を中心とし,座標軸を軸にもつ楕円である。横方向の半径は a+1/2,縦方向の半径は 1/2a である。 a=12 のときは y=0,x=cosθ であるから,軌跡は 1x1,y=0 すなわち x 軸上の線分である。

総評

内接してころがる円板の公転角と自転角を分けて処理する軌跡問題である。目安時間は22分。外側をころがる場合と違って自転の向きが時計まわりになるため,y 成分の符号を誤りやすい。(2) では「周期的に見える」だけでなく,初期位置に戻るなら二つのベクトルがともに初期方向を向く必要があることを三角不等式で説明すると必要性が明確になる。(3) は a=1/2 の退化ケースを忘れないことが重要である。

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出典: 大阪大学 1991年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。