Evolton

大阪大学 1989年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第3問

鋭角三角形ABCが与えられている.
Aを1つの頂点とする長方形ADEFが,次の条件(i),(ii)を満たしながら変化するものとする.

(i) 辺DE上に点Bがある.

(ii) 辺EF上に点Cがある.

このとき,長方形ADEFの面積の最大値をθbcを用いて表せ.
ただしθ=BACb=CAc=ABである.

難易度6/ 10計算量5/ 10目安22

図形と方程式三角関数 三角比の利用面積計算、範囲評価

方針

長方形の向きを1つの角で表す。AB を基準に、辺 ADAB から外側へ β だけ傾くと考えると、長方形の横の長さは ccosβ、縦の長さは bsin(θ+β) になる。よって面積は bccosβsin(θ+β) で、積和公式により bc2{sinθ+sin(θ+2β)} と表せる。任意の許される β に対してこれは bc2(1+sinθ) 以下であり、鋭角三角形の条件を使って θ+2β=π/2 となる向きが実際に条件を満たすことを確認する。

解答

AB の方向を基準に取る。長方形の辺 AD が、AB から三角形の外側へ角 β だけ傾いているとする。このとき B が辺 DE 上にあるので、AD の長さは BAD 方向の成分に等しく、AD=ccosβ である。また、C が辺 EF 上にあるので、AF の長さは CAF 方向の成分に等しい。ACAD のなす角は θ+β だから AF=bsin(θ+β) である。したがって、この向きの長方形の面積を S(β) とすると S(β)=bccosβsin(θ+β) である。

積和公式より S(β)=bc2{sinθ+sin(θ+2β)} である。したがって、どのような長方形に対しても S(β)bc2(1+sinθ) である。

あとは、この上限を実際に達成できることを確認する。 β0=12(π2θ) とおくと θ+2β0=π2 であり、上の面積は bc2(1+sinθ) になる。

この向きで本当に B が辺 DE 上、C が辺 EF 上に来ることを確かめる。三角形 ABC は鋭角三角形であるから、角 B が鋭角であることより c>bcosθ であり、角 C が鋭角であることより b>ccosθ である。すなわち cosθ<bc<1cosθ である。

一方、β0=(π/2θ)/2 についてtanβ0=1sinθcosθ,cotβ0=1+sinθcosθである。0<sinθ<1 より tanβ0<cosθ<bc<1cosθ<cotβ0 が成り立つ。 B が辺 DE 上にあるためには、BAF 方向の成分が AF 以下、すなわち csinβ0bsin(θ+β0) であればよい。ここで θ+β0=π/2β0 なので、右辺は bcosβ0 である。上の b/c>tanβ0 からこの不等式は成り立つ。

同様に、C が辺 EF 上にあるためには bcos(θ+β0)ccosβ0 であればよい。左辺は bsinβ0 であり、上の b/c<cotβ0 からこの不等式も成り立つ。

したがって上限は実際に達成される。よって長方形 ADEF の面積の最大値は bc2(1+sinθ) である。

別解。面積式を微分で調べてもよい。S(β)=bccosβsin(θ+β) とすれば S(β)=bccos(θ+2β) である。したがって候補は θ+2β=π/2 であり、その候補が鋭角条件により許されることを上と同じ不等式で確認すれば、最大値 bc(1+sinθ)/2 が得られる。

総評

長方形の向きを動かす図形最大問題で、22分程度が目安である。既存の辺に沿わせた長方形だけを見ると bcsinθ で止まるが、長方形を傾けると面積はさらに大きくなる。面積式 bccosβsin(θ+β) を作り、sin(θ+2β)1 から上限を出すのが中心である。ただし上限を出すだけでは不十分で、θ+2β=π/2 の向きで B,C が指定された辺上に入ることを鋭角条件から確認する必要がある。ここを丁寧に書くと、最大が端点ではなく内点で起こる理由も明確になる。

冊子PDFで見る阪大の図形と方程式の問題で問題集を作る

出典: 大阪大学 1989年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。