方針
まず A2 を直接計算し,そこから A4=−4E を得る。第2問では 4 乗ごとに (−4) 倍されることを利用し,A+A2+A3+A4 を先に求めてから等比数列の和を掛ける。別の方針として,A が複素数の 1+i 倍に対応することを用いると,(1+i)4=−4 から同じ周期構造が見える。
解答
(1)
直接計算するとA2=(11−11)(11−11)=(02−20)である。したがってA4=(A2)2=(02−20)2=(−400−4)=−4Eを得る。
(2)
(1)より A4=−4E であるから,任意の整数 j≧0 と r=1,2,3,4 に対して A4j+r=A4jAr=(−4)jAr である。よって,4 項ずつまとめるとk=1∑4nAk=j=0∑n−1(A4j+1+A4j+2+A4j+3+A4j+4)={1+(−4)+⋯+(−4)n−1}(A+A2+A3+A4)となる。
ここでA3=A2A=(−22−2−2)であるから,A+A2+A3+A4=(−55−5−5)である。また 1+(−4)+⋯+(−4)n−1=1−(−4)1−(−4)n=51−(−4)n である。したがってk=1∑4nAk=(1−(−4)n)(−11−1−1)である。
別解
解法2
方針
列ベクトル (x,y) を複素数 z=x+iy と同一視する。行列 A の作用が 1+i の乗法であることを使い、4乗ごとの倍率と4項分の和を複素数の等比構造から求め、最後に行列へ戻す。
解答
(1)
列ベクトル (x,y) を複素数 z=x+iy とみなす。するとA(xy)=(x−yx+y)は、複素数では z↦(1+i)z に対応する。したがって(1+i)2=2i,(1+i)4=−4よりA4=−4E.(2)
また、最初の4項に対応する複素数の和は(1+i)+(1+i)2+(1+i)3+(1+i)4=(1+i)+2i+(−2+2i)−4=−5+5i.よって対応する行列はA+A2+A3+A4=(−55−5−5).第 j 番目の4項のまとまりはこれの (−4)j 倍なのでk=1∑4nAk={j=0∑n−1(−4)j}(−55−5−5)=51−(−4)n(−55−5−5)=(1−(−4)n)(−11−1−1).これが求める和である。
総評
計算量は少ないが,A4=−4E を見た後のまとめ方で差が出る。目安時間は10分。A4 が単位行列の定数倍になるため,A,A2,A3,A4 の一まとまりを作り,外側に等比数列の係数を掛けるのが最も整理しやすい。A3 や A+A2+A3+A4 の符号を落とすミスが多いので,途中の行列を一つずつ明示すると減点されにくい。複素数で見る別の方針は構造を短く説明できるが,最後は行列表示に戻す必要がある。
冊子PDFで見る阪大の行列の問題で問題集を作る
出典: 大阪大学 1993年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。