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大阪大学 1991年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第1問

直線y=1l,直線y=kxlとする.行列A=(abcd)によって表される1次変換fl上の点をl上の点に移すものとする.

(1) c=kad=kbが成り立つことを示せ.

(2) A2=(a+kb)Aを示せ.

(3) A2が零行列でないとき,fによるlの像はlであることを示せ.

難易度4/ 10計算量4/ 10目安12

行列図形と方程式 恒等式比較、計算整理、図形的解釈

方針

直線 l 上の一般の点を (x,1) と置き,それを行列 A で移した点が必ず l 上にあるという条件を,x についての恒等式として読む。そこから第2行が第1行の k 倍であることを出すと,A の形が一気に決まる。(2) はその形を用いた行列積の計算で示し,(3) は l の方向ベクトル (1,k) が零でない倍率で同じ直線上を動くことを確認する。最後は「l に含まれる」だけでなく,l 全体が得られることまで示す。

解答

(1)
直線 l:y=1 上の点は (x,1) と表される。この点を A で移すとA(x1)=(ax+bcx+d)すなわち,座標で書けば (ax+b,cx+d) である。これが直線 l:y=kx 上にあるので,すべての実数 x について cx+d=k(ax+b) が成り立つ。右辺を展開すると cx+d=kax+kb であり,x の係数と定数項を比較して c=ka,d=kb を得る。

(2)
(1)
よりA=(abkakb)である。したがってA2=(abkakb)(abkakb)であり,各成分を計算するとA2=(a2+kabab+kb2ka2+k2abkab+k2b2)となる。一方,(a+kb)A=(a+kb)(abkakb)の各成分は(a2+kabab+kb2ka2+k2abkab+k2b2)で一致する。よって A2=(a+kb)A である。

(3)
直線 l 上の点は (x,kx)=x(1,k) と表される。これを A で移すとA(xkx)=x(a+kbka+k2b)=x(a+kb)(1k)である。したがって得られる点は少なくとも l 上にある。

ここで,もし a+kb=0 ならば,(2)より A2=(a+kb)A=0 となり,A2 は零行列になってしまう。これは仮定に反する。したがって a+kb0 である。

このとき,任意の l 上の点 t(1,k) に対し,x=ta+kb と選べばA(xkx)=t(1k)となる。よって l 上の任意の点が実際に得られるので,f により l から得られる点全体は l である。

総評

直線を直線へ移す条件を,点 (x,1) に対する恒等式として読む基本問題である。目安時間は12分。採点上は,(1) の係数比較,(2) の行列積,(3) の倍率 a+kb0 の確認がそれぞれ得点点になる。最後に l に入ることだけを書いて終わると不十分で,任意の l 上の点が得られることまで示す必要がある。

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出典: 大阪大学 1991年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。