Evolton

大阪大学 1997年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第3問

x1=(1,0)x2=(1/2,3/2)x3=(1/2,3/2)とする。各試行でこの3ベクトルから等確率で1つを選び、n回中の出現回数をn1,n2,n3とする。

(1) ax1+bx2+cx3=0の必要十分条件がa=b=cであることを示せ。
(2) n=3mのときn1x1+n2x2+n3x3=0となる確率Pmについて、P1と一般のPmを求めよ。
(3) m>1Pm<mm+1Pm1を示し、limmPmを求めよ。

難易度6/ 10計算量5/ 10目安20

ベクトル確率数列 ベクトル成分計算必要十分条件数え上げ不等式評価、はさみうち

方針

成分比較で零ベクトル条件を確定する。条件を満たす出現回数は一意なので、その並べ方を数え、隣接項比を直接比較して極限を評価する。

解答

(1)
成分を比較するとab+c2=0,32(bc)=0.第2式からb=c、これを第1式に入れてa=b=cを得る。逆にa=b=cならx1+x2+x3=0より等式が成り立つ。従って必要十分条件である。
(2)
(1)とn1+n2+n3=3mより、零ベクトルとなるのはn1=n2=n3=mのときに限る。従ってPm=(3m)!(m!)3(13)3m.特にP1=3!33=29.(3)
隣接項比はPmPm1=(3m)(3m1)(3m2)27m3=(3m1)(3m2)9m2.一方、(3m1)(3m2)(m+1)=9m37m+2<9m3であるから、m>1ではPmPm1<mm+1.これを2からmまで用いると0<Pm<P12334mm+1=49(m+1).右辺は0に収束するので、はさみうちによりlimmPm=0.

別解

解法2

方針

3ベクトルを複素平面の3乗根 1,ω,ω2 と見なす。零和条件は実部・虚部ではなく、ω2+ω+1=0ωR から決める。確率は多項係数で数え、隣接比の各因子を比較する。

解答

(1) ω=12+32iと置くと、3ベクトルは複素数1,ω,ω2に対応する。条件はa+bω+cω2=0.ω2=1ω を使うと(ac)+(bc)ω=0.ω は実数でないからac=0,bc=0.従って a=b=c。逆は1+ω+ω2=0から明らかである。

(2)
n1+n2+n3=3m と (1) よりn1=n2=n3=mだけが零ベクトルを与える。従ってPm=(3m)!(m!)333m,P1=29.(3)PmPm1=(3m)(3m1)(3m2)27m3=(113m)(123m).一方、(3m1)(3m2)(m+1)=9m37m+2<9m3(m>1) だからPm<mm+1Pm1.これを反復すると0<Pm<292334mm+1=49(m+1).従ってlimmPm=0.

総評

難度6、計算量5。3方向の零和を出現回数の一致へ帰着し、多項係数で確率を求める。隣接比の厳密不等式を望遠積へつなぎ、極限0を階乗近似に頼らず高校数学内で示した。

冊子PDFで見る阪大のベクトルの問題で問題集を作る

出典: 大阪大学 1997年度 後期 理系 第3問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。