Evolton

大阪大学 2007年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第5問

nを2以上の自然数とする.
4個の行列
A=(1001)
B=(110011)
C=(111111)
D=(100010001)
を重複を許してn個並べたものをM1,M2,,Mnとする.

(1)M1M2Mnが定義できる場合は何通りあるか.
その数をnの式で表せ.

(2)M1M2Mnが定義できて,
その積が零行列でない2×3行列となる場合は何通りあるか.
その数をnの式で表せ.

(3)M1M2Mnが定義できて,
その積が零行列とならない場合は何通りあるか,
その数をnの式で表せ.

難易度7/ 10計算量6/ 10目安30

行列場合の数 状態分類数え上げ、計算整理

方針

行列そのものより,まずサイズの遷移を見る。A22B23C32D33 を表すので,積が定義できる並べ方は長さ n+1 の次元列で数えられる。零行列になるかどうかは,A,D が恒等行列で,BC=O,一方 CBO であることが本質である。したがって,非零の積では 23 の遷移 B の後に 32 の遷移 C が現れてはいけない。この禁止条件のもとで,始点と終点のサイズ別に場合分けする。

解答

(1)

行列のサイズだけを見る。各行列は A:22,B:23,C:32,D:33 という遷移を表している。積 M1M2Mn が定義できるとは,隣り合う行列のサイズがつながるということである。

したがって,最初の行数を2または3から選び,その後の列数を各段階で2または3から選べば,次元列 d0,d1,,dn(di=2 または 3) が決まる。各遷移 di1di に対応する行列は一意に決まる。よって積が定義できる並べ方は 2n+1 通りである。

(2)

まず零行列になる原因を確認する。AD はそれぞれのサイズの単位行列であり,BC=(110011)(111111)=(0000)である。一方CB=(101101101)であり,これは零行列ではない。

積が 2×3 行列になるには,次元列が2から始まり3で終わる必要がある。非零であるためには,途中で B の後に C が現れてはならない。なぜなら,その間に現れるのはサイズ3の単位行列 D だけなので,部分積に BDC,BDDC, が現れ,いずれも BC=O により零になるからである。

2から始まり3で終わり,かつ B の後に C が現れないためには,ある位置で1回だけ B が現れ,その前はすべて A,その後はすべて D でなければならない。すなわち A,,A,B,D,,D の形である。B の位置は 1 番目から n 番目までの n 通りなので,求める数は n である。

(3)

零行列とならない場合を,最初のサイズと最後のサイズで分けて数える。 22 の場合は,途中で B が現れると,最後に2へ戻るためにその後 C が必要となり,BC=O により零になる。したがってすべて A の1通りだけである。 23 の場合は(2)で数えた通り,1回だけ B が現れる形で n 通りである。 32 の場合は,1回だけ C が現れ,その前はすべて D,その後はすべて A である。C の位置は n 通りなので n 通りである。 33 の場合は,まずすべて D の1通りがある。ほかにサイズが変わる場合は,先に C32 へ移り,その後に B23 へ戻る形だけが非零である。C の位置を iB の位置を j とすると 1i<jn であり,その選び方は nC2=n(n1)2 通りである。この場合の積には CB が現れるが,これは上で確認した通り零行列ではない。

以上を合計すると,零行列とならない場合の数は 1+n+n+1+n(n1)2=n2+3n+42 である。よって n2+3n+42 である。

行列の大きさを状態とみなすと,積が定義できる列と非零列を分類できる。

総評

難度7,計算量6。行列の成分計算を大量に行う問題ではなく,サイズを 2,3 の状態遷移として読む問題である。(1)は長さ n+1 の次元列で一気に数えられる。(2)(3)では BC=O だが CBO という順序の違いが核心で,B の後に C が出ると零になる。非零の場合の形を始点・終点別に列挙すると抜けが少ない。特に 33 では,すべて D の場合と,C が先で B が後の nC2 通りを分けて数える。目安時間は25分から30分。

冊子PDFで見る阪大の行列の問題で問題集を作る

出典: 大阪大学 2007年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。