Evolton

東北大学 1984年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第4問

実数x,yはすべての正数tに対して,不等式x−4≦y≦(3t2−1)x+2t3を満たしている.

(1) x,yの満たす関係式を求め,点(x, y)の存在する範囲Dを図示せよ.

(2) Dの面積を求めよ.

難易度7/ 10計算量6/ 10目安26分

方程式・不等式、関数、積分 パラメータ処理、範囲評価、面積計算、場合分け

方針

条件は y≧x−4 と、すべての t>0 に対する上側の制限に分けられる。上側は ϕ(t)=(3t2−1)x+2t3 の t>0 における下限であり、x≧0 と x<0 で最小の取り方が変わる。下側直線と上側曲線が交わる範囲を求め、2つの積分に分けて面積を出す。

解答

(1)
条件は y≧x−4 かつ、すべての t>0 について y≦(3t2−1)x+2t3 であることを意味する。 ϕ(t)=(3t2−1)x+2t3=−x+3xt2+2t3 とおく。上側の境界は、t>0 における ϕ(t) の下限で決まる。
微分すると ϕ′(t)=6t(x+t) である。 x≧0 のとき、t>0 では ϕ′(t)>0 である。したがって ϕ(t) は増加し、下限は t を 0 に近づけたときの −x である。よって y≦−x となる。 x<0 のとき、ϕ′(t)=0 となる正の値は t=−x である。そこで最小となり、ϕ(−x)=−x+3x(−x)2+2(−x)3=x3−x である。よって y≦x3−x となる。

したがって領域 D は x<0 では x−4≦y≦x3−x, x≧0 では x−4≦y≦−x で表される。さらに上下の大小から範囲を決める。 x<0 では x−4≦x3−x すなわち x3−2x+4≧0 である。これは x3−2x+4=(x+2)(x2−2x+2) であり、x2−2x+2=(x−1)2+1>0 だから −2≦x<0 である。 x≧0 では x−4≦−x より 0≦x≦2 である。

よって D:−2≦x≦0,x−4≦y≦x3−x および 0≦x≦2,x−4≦y≦−x である。図は、下側が直線 y=x−4、上側が −2≦x≦0 で曲線 y=x3−x、0≦x≦2 で直線 y=−x となる領域である。境界上の主な点は (−2,−6),(0,−4),(0,0),(2,−2) である。

(2)
面積は2つに分けて∫−20{(x3−x)−(x−4)} dx+∫02{(−x)−(x−4)} dxである。
第1項は∫−20(x3−2x+4) dx=[x44−x2+4x]−20=8である。第2項は∫02(4−2x) dx=[4x−x2]02=4である。したがって 面積=8+4=12 である。

−2≦x≦0 では曲線、0≦x≦2 では直線が上側境界

別解

解法2

方針

(1) 上側の式から候補境界を引いた差を因数分解し、微分を使わず全ての t>0 に対する最小値を求める。(2) 下側直線との差を、曲線部分と直線部分に分けて積分する。

解答

(1) 上側の式をϕx(t)=(3t2−1)x+2t3とおく。

x≧0 ならϕx(t)−(−x)=t2(3x+2t)>0であり、t→0+0 で右辺は0へ近づく。したがって全ての t>0 に対する上限条件はy≦−xである。

x<0 ならϕx(t)−(x3−x)=2t3+3xt2−x3=(t+x)2(2t−x)≧0.t=−x>0 で等号となるから、上限条件はy≦x3−xである。

下側条件 y≧x−4 と両立する範囲を調べる。x<0 ではx3−x−(x−4)=(x+2){(x−1)2+1}≧0より −2≦x<0 である。x≧0 では−x−(x−4)=4−2x≧0より 0≦x≦2 である。したがってD={x−4≦y≦x3−x(−2≦x≦0),x−4≦y≦−x(0≦x≦2)となる。

(2) 面積を S とするとS=∫−20(x3−2x+4) dx+∫02(4−2x) dx=8+4=12.

総評

全ての正の t に対する不等式を、関数の下限問題に変換する領域問題。目安時間は26分。上側境界は t の値を1つ選ぶのではなく、全ての t>0 で成り立つための最も厳しい上限を取る必要がある。x≧0 と x<0 で下限の出方が変わり、領域も曲線部分と直線部分に分かれる点が最大の注意点である。 2つの解法と解説図を相互に照合し、境界値・必要十分性・符号も確認した。

冊子PDFで見る東北大の方程式・不等式の問題で問題集を作る

出典: 東北大学 1984年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。