方針
負の解をもたない条件は、三次関数 F(x)=(x+a)3−3x−a2 が半直線 x<0 で0にならない条件である。x→−∞ では F(x)→−∞ なので、x<0 での最大値が0未満であればよい。極大点 x=−a−1 が負の範囲に入るか、また端点 x=0 に近づくときの値がどうなるかを場合分けして、必要十分条件を得る。
解答
(1) F(x)=(x+a)3−3x−a2 とおく。求める条件は、x<0 において F(x)=0 となる x が存在しないことである。
まず x→−∞limF(x)=−∞ である。したがって、x<0 で一度でも F(x)>0 になれば、その手前で0を通り、負の解をもつ。逆に x<0 で常に F(x)<0 なら負の解をもたない。
導関数は F′(x)=3(x+a)2−3=3{(x+a)2−1} である。よって極値をとる候補は x=−a−1,x=−a+1 である。符号変化から、x=−a−1 が極大点、x=−a+1 が極小点である。 a≦−1 のとき、極大点 −a−1 は 0 以上であり、x<0 では F(x) は増加し続ける。また F(0)=a3−a2=a2(a−1)<0 なので、x<0 では常に F(x)<0 である。したがってこの場合は条件を満たす。
次に a>−1 とする。このとき極大点 −a−1 は負の範囲に入る。負の解をもたないためには、この極大値が0未満でなければならない。実際、極大値が0以上なら、−∞ で負だった値が0に達するので負の解をもつ。
極大値は F(−a−1)=(−1)3−3(−a−1)−a2=−a2+3a+2 である。したがって必要な条件は −a2+3a+2<0 である。これは a2−3a−2>0 すなわち a<23−17またはa>23+17 である。
ただし a>1 の場合は F(0)=a2(a−1)>0 であり、x<0 のどこかで0を通る。したがって a>1 は除かれる。結局、a>−1 の範囲で残るのは −1<a<23−17 である。a≦−1 の場合と合わせて a<23−17 である。
等号 a=(3−17)/2 では、負の極大点で F(x)=0 となるため、負の解をもつ。したがって等号は含まない。
負の半直線と極大点
別解
解法2
方針
変数を u=x+a と移し、負の解に対応する半直線 u<a 上で三次式 u3−3u+3a−a2 の符号を調べる。端点と極大値を比較し、等号で負の重解が生じることまで確認する。
解答
u=x+a とおくと、方程式はH(u)=u3−3u+3a−a2=0となり、負の解 x<0 は u<a の解に対応する。H(u)→−∞
(u→−∞) であり、H′(u)=3(u2−1)だから極大点は u=−1 である。
a≦−1 なら半直線 u<a は極大点の左側にあり、H はそこで増加する。
さらにH(a)=a3−a2=a2(a−1)<0だから u<a では H(u)<0 で、負の解はない。
a>−1 なら極大点 u=−1 が u<a に入る。負の解を生じさせないためにはH(−1)=−a2+3a+2<0が必要である。また a>1 では H(a)>0 なので、連続性から u<a に
零点が生じる。したがって a≦1 のもとで上の不等式を解けばa<23−17を得る。等号では u=−1<a が零点になるため含まれない。
総評
負の半直線上で三次関数の最大値を調べる問題。目安時間は25分前後。x<0 が開区間であるため、端点 x=0 の値と、内部の極大点を分けて見る必要がある。特に a>1 では F(0)>0 となり、極大値だけでなく0に近い側で根が出る点を落としやすい。等号では負の重解をもつので、最後は不等号を厳密に処理したい。 2解法の結論を照合し、端点・符号・定義域・必要十分性を再確認した。 図は本文の論証を補助するものであり、縮尺に依存せず結論が得られる。
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出典: 東北大学 1994年度 前期日程 第2次学力試験 文系 前期 第1問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。