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東北大学 1985年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第1問

三角形△ABCにおいて,
CA→⋅AB→=a,
AB→⋅BC→=b,
BC→⋅CA→=cとおく.
ここで⋅はベクトルの内積を表す.
このとき,次の問に答えよ.

(1) abc=0のとき,△ABCはどのような三角形となるか.

(2) (a−b)(b−c)(c−a)=0のとき,△ABCはどのような三角形となるか.

(3) △ABCの面積は12ab+bc+caであることを証明せよ.

難易度7/ 10計算量5/ 10目安25分

ベクトル 内積の利用、式変形、計算整理

方針

辺長の二乗で a,b,c を表し、内積0・内積同士の一致を直角・二等辺条件へ直す。面積は S2={AB2BC2−(AB→⋅BC→)2}/4 と比較する。

解答

(1)
3辺の長さを AB=x,BC=y,CA=z とおく。まず a=CA→⋅AB→ である。CA→ は頂点 A から見た AC→ と向きが反対であるが,内積が0であるかどうかには影響しない。したがって a=0 は,AB と AC が垂直であること,すなわち ∠A=90∘ と同値である。同様にb=0⟺∠B=90∘,c=0⟺∠C=90∘である。

よって abc=0 なら,a,b,c の少なくとも1つが0であるから,△ABC は直角三角形である。逆に直角三角形なら,直角の頂点に対応する内積が0になる。したがって答えは 直角三角形 である。

(2)
辺の長さの2乗を X=AB2,Y=BC2,Z=CA2 とおく。三角形のベクトルは AB→+BC→+CA→=0⃗ を満たすので,たとえば BC→=−(AB→+CA→) である。両辺の長さの2乗をとると Y=X+Z+2AB→⋅CA→ となる。ここで AB→⋅CA→=a だから a=Y−X−Z2 である。同じようにして b=Z−X−Y2,c=X−Y−Z2 を得る。

この表示からa=b⟺Y=Z,b=c⟺Z=X,c=a⟺X=Yである。したがって (a−b)(b−c)(c−a)=0 なら,少なくとも2つの辺の長さが等しい。よって △ABC は二等辺三角形である。逆に二等辺三角形なら対応する2つの辺の長さの2乗が等しく,上のいずれかの等式が成り立つ。したがって答えは 二等辺三角形 である。正三角形も二等辺三角形に含まれる。

(3) u⃗=AB→,v⃗=BC→ とおく。このとき2辺 AB,BC がつくる平行四辺形の面積の2乗は ∣u⃗∣2∣v⃗∣2−(u⃗⋅v⃗)2 であるから,三角形の面積を S とすると S2=14{XY−b2} である。ここで X=AB2,Y=BC2 であり,b=u⃗⋅v⃗ である。

一方,(2) で得た a=Y−X−Z2,b=Z−X−Y2,c=X−Y−Z2 を用いる。計算を見やすくするため T=X+Y+Z とおくと a=Y−T2,b=Z−T2,c=X−T2 である。したがってab+bc+ca=(a+b+c)2−(a2+b2+c2)2=T24−X2+Y2+Z22=2XY+2YZ+2ZX−X2−Y2−Z24となる。

また b=Z−X−Y2 よりXY−b2=XY−(Z−X−Y)24=2XY+2YZ+2ZX−X2−Y2−Z24である。よって XY−b2=ab+bc+ca となるから S2=14(ab+bc+ca) である。面積は正なので S=12ab+bc+ca が成り立つ。

別解

解法2

方針

u⃗=AB→、v⃗=AC→ と置き、3つの内積を ∣u⃗∣2,∣v⃗∣2,u⃗⋅v⃗ だけで表す。差を取れば二等辺条件が直接現れ、ab+bc+ca は面積公式の根号内と一致する。

解答

u⃗=AB→、v⃗=AC→ とし、U=∣u⃗∣2,V=∣v⃗∣2,w=u⃗⋅v⃗とおく。CA→=−v⃗、BC→=v⃗−u⃗ だからa=−w,b=w−U,c=w−V.(1)(1) a=0 は u⃗⊥v⃗、すなわち ∠A=90∘ を意味する。同様に、b=0 は ∠B=90∘、c=0 は ∠C=90∘ を意味する。よって abc=0 の必要十分条件は、△ABC が直角三角形であることである。

(2) (1)よりa−b=U−2w=∣v⃗−u⃗∣2−V,b−c=V−U,c−a=2w−V=U−∣v⃗−u⃗∣2.したがって、いずれかの差が0であることは、AB,BC,CA のうち2辺が等しいことと同値である。よって答えは正三角形を含む二等辺三角形である。

(3) (1)を展開するとab+bc+ca=(−w)(w−U)+(w−U)(w−V)+(w−V)(−w)=UV−w2.一方、u⃗,v⃗ のなす角を θ とし、面積を S とすると4S2=UVsin⁡2θ=UV−(u⃗⋅v⃗)2=UV−w2.ゆえにS=12ab+bc+caである。

総評

難易度は7,計算量は5程度である。想定時間は20分から28分程度。(1) は内積の向きに惑わされず,0になる条件だけを角の直角条件に対応させる。(2) は辺の長さの2乗を置くと一気に整理できるが,どの等式がどの辺の等しさを表すかを取り違えやすい。(3) は面積の2乗で証明するのが採点上安全で,最後に面積が正であることを使って平方根を取る。別の方法として座標を置いて計算する方法もあるが,本質は同じ内積整理である。

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出典: 東北大学 1985年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。