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東北大学 1990年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第1問

行列A=(1−aab)
(a,bは実数で,a>0)により表される1次変換
(x′y′)=A(xy)について考える.

(1) A2+A+E=Oを満たすようにAを定めよ.
ここでEは単位行列,Oは零行列を表すものとする.

(2) 原点をO(0, 0),直線x=2上の点をP(2, p)とし,
(1)で定められた行列Aによる1次変換で,点Pが点Qに移るものとする.

∣OQ→∣≧∣OP→∣となるようなpの範囲を求めよ.

(3) (2)の大きさの比∣OQ→∣∣OP→∣の
最大値を求めよ.

難易度7/ 10計算量6/ 10目安25分

行列、ベクトル 恒等式比較、範囲評価、微分による最大最小

方針

(1) は A2+A+E=O を成分比較して a,b を決める。(2)は点 P=(2,p) の移る先 Q を直接計算し、長さの2乗の差を2次不等式にする。(3)は比の2乗を p の関数として最大化する。分母が正なので、微分で臨界点を求め、無限遠での値も比較して最大を決める。

解答

(1) A=(1−aab)とする。まずA2=(1−a2−a(1+b)a(1+b)−a2+b2)である。したがって A2+A+E=O は(3−a2−a(2+b)a(2+b)−a2+b2+b+1)=Oと同値である。a>0 だから、左上成分から a2=3 より a=3 である。また右上または左下成分から 2+b=0 なので b=−2 である。このとき右下成分も −3+4−2+1=0 となり確かに成り立つ。よってA=(1−33−2)である。

(2) P=(2,p) が移る先を Q とすると Q=(2−3p,23−2p) である。したがって ∣OQ→∣2=(2−3p)2+(23−2p)2 であり、展開して ∣OQ→∣2=7p2−123p+16 となる。一方 ∣OP→∣2=p2+4 である。よって条件 ∣OQ→∣≧∣OP→∣ は 7p2−123p+16≧p2+4 すなわち 6(p2−23p+2)≧0 である。平方完成すると (p−3)2≧1 だから p≦3−1,p≧3+1 である。

(3)
比の2乗をR(p)=∣OQ→∣2∣OP→∣2=7p2−123p+16p2+4とおく。分母は常に正である。微分すると R′(p)=(14p−123)(p2+4)−2p(7p2−123p+16)(p2+4)2 であり、分子を整理して R′(p)=12(3p2+2p−43)(p2+4)2 となる。したがって臨界点は 3p2+2p−43=0 の解、すなわち p=−3+393,p=−3+393 である。

それぞれでの R の値は 11−3132,11+3132 である。また p が正または負に限りなく大きくなると R(p) は 7 に近づく。よって最大値は 11+3132 である。求める比そのものの最大値は 11+3132 である。

別解

解法2:比の最大値を判別式で求める

方針

(1) (2) は成分計算と平方完成で処理する。(3) は比の2乗が定数 M 以下となる条件を p の2次不等式に直し、すべての実数 p で成り立つための判別式条件から最小の M を決める。

解答

(1)
成分を計算するとA2+A+E=(3−a2−a(2+b)a(2+b)−a2+b2+b+1).a>0 だからa=3,b=−2.よってA=(1−33−2).(2)P=(2,p)の像はQ=(2−3p, 23−2p).したがって∣OQ∣2−∣OP∣2=6{(p−3)2−1}.よってp≦3−1またはp≧3+1.(3)
比の2乗をR(p)=7p2−123p+16p2+4とする。すべての実数 p で R(p)≦M となる条件は(M−7)p2+123p+4M−16≧0がすべての p で成り立つことである。必要な最小の M は M>7 で、判別式が0になるときだから(123)2−4(M−7)(4M−16)=0.整理するとM2−11M+1=0.大きい方の根を取り、M=11+3132.よって比の最大値は11+3132.

総評

難度は10段階中7、計算量は10段階中6。(1)(2)は成分計算だが、(3)は比そのものではなく比の2乗を最大化すると処理が軽い。微分後の2次方程式で2つの臨界点が出るため、どちらが最大かと無限遠での値 7 を比較する必要がある。試験場では22分程度で、(2)の範囲と(3)の最大点を混同しないように分けて書きたい。

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出典: 東北大学 1990年度 後期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。