Evolton

東北大学 1991年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第2問

f(t)g(t)は微分可能な関数とし,行列A(t)=f(t)(1111)+g(t)(1111)はすべての実数stに対して,次の2つの条件を満たすとする.

(i) A(s+t)=A(s)A(t)

(ii) A(t)の表す1次変換は双曲線C:x2y2=1上の任意の点をC上に移す.

このときf(t)g(t)はどのような関数か.

難易度7/ 10計算量5/ 10目安24

行列指数・対数 置換、計算整理

方針

座標を u=x+yv=xy に取り替えると、双曲線 x2y2=1uv=1 と書ける。また与えられた行列は u2f(t)uv2g(t)v に変える。条件 A(s+t)=A(s)A(t) は2つの倍率の積の法則になり、双曲線を保つ条件は倍率の積が1であることになる。微分可能性から指数関数形を導く。

解答

u=x+y,v=xy とおく。このとき x2y2=(x+y)(xy)=uv である。したがって双曲線 C:x2y2=1uv=1 と表される。

行列 A(t) の働きを u,v で見る。まず(1111)(xy)=(uu)であり、また(1111)(xy)=(vv)である。したがって、移った点の新しい u,vu,v とすると u=2f(t)u,v=2g(t)v である。

ここで F(t)=2f(t),G(t)=2g(t) とおく。条件 A(s+t)=A(s)A(t) は、uv の倍率について F(s+t)=F(s)F(t),G(s+t)=G(s)G(t) を意味する。

また、A(t) が双曲線 uv=1 上の任意の点を再び uv=1 上に移すためには uv=uv でなければならない。uv=1 であるから F(t)G(t)=1 である。したがって F(t),G(t) は0にならない。

特に F(0)=F(0)2 で、F(0)0 だから F(0)=1 である。F は微分可能なので、等式 F(s+t)=F(s)F(t)s で微分し、s=0 とおくと F(t)=F(0)F(t) である。c=F(0) とおけば F(t)=cF(t),F(0)=1 であるから F(t)=ect である。

さらに F(t)G(t)=1 より G(t)=ect である。したがって f(t)=12ect,g(t)=12ect である。ただし c は任意の実数である。

別解

解法2:積の法則を対数へ移す

方針

方向 (1,1)(1,1) がそれぞれ何倍になるかを直接調べる。双曲線を保つ条件から2倍率の積が1と分かる。正の倍率の対数をとり、加法を満たす微分可能関数が1次関数であることから指数関数形を得る。

解答

e+=(1,1),e=(1,1)とする。与えられた行列をこれらへ作用させるとA(t)e+=2f(t)e+,A(t)e=2g(t)e.そこでF(t)=2f(t),G(t)=2g(t)とおく。条件 (i) からF(s+t)=F(s)F(t),G(s+t)=G(s)G(t).任意の点を(x,y)=x+y2e++xy2eと表すと、変換後には x+yF(t) 倍、xyG(t) 倍になる。
双曲線は(x+y)(xy)=1であるから、条件 (ii) はF(t)G(t)=1を与える。特に F(t)0 であり、積の法則と連続性から F(t)>0 である。

H(t)=logF(t) とおくとH(s+t)=H(s)+H(t).H は微分可能なので、s で微分してH(s+t)=H(s).s=0 とすれば H(t)=H(0)=c となる。H(0)=0 よりH(t)=ct,F(t)=ect.また G(t)=1/F(t)=ect である。したがってf(t)=12ect,g(t)=12ectであり、c は任意の実数である。

総評

行列の形をそのまま計算するより、u=x+yv=xy に分けるのが決定的である。目安時間は24分。双曲線 x2y2=1uv=1 になるため、倍率 F=2fG=2gFG=1 を満たす。さらに F(s+t)=F(s)F(t) と微分可能性から指数関数になる流れを、途中の F(t)=F(0)F(t) まで書くと答案として強い。 2解法の結論を相互照合し、定義域、符号、端点、等号成立条件を確認した。 問題に即した高校数学の範囲だけで構成した。 図は立式の対応を示す解説図であり、結論には依存しない。

冊子PDFで見る東北大の行列の問題で問題集を作る

出典: 東北大学 1991年度 前期 第2問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。