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東北大学 1991年度 後期日程 第2次学力試験文系(後期)数学 第1問

実数xに対し,行列A(x)
A(x)=(x111x+1)と定義する.

(1) A(x)A(y)=A(xy)+(x+y1)A(0)を証明せよ.

(2) nが2以上の整数のときA(x)n=A(xn)+(nxn11)A(0)が成り立つことを証明せよ.ただしA(x)1=A(x),A(x)n=A(x)A(x)n1(n2)とする.

難易度5/ 10計算量4/ 10目安16

行列数列 数学的帰納法恒等式比較、計算整理

方針

(1) は行列の積を直接計算し、右辺 A(xy)+(x+y1)A(0) と成分ごとに一致することを確かめる。(2)は数学的帰納法を使う。基底 n=2 は(1)で y=x として確認し、帰納法の段階では(1)に加えて A(x)A(0)=xA(0) を使って係数を整理する。

解答

(1)
定義よりA(x)=(x111x+1),A(y)=(y111y+1)である。これらを掛けるとA(x)A(y)=((x1)(y1)1(x1)+(y+1)(y1)(x+1)1+(x+1)(y+1))=(xyxyx+y(x+y)xy+x+y)である。

一方A(xy)=(xy111xy+1),A(0)=(1111)であるからA(xy)+(x+y1)A(0)=(xyxyx+y(x+y)xy+x+y)である。よって A(x)A(y)=A(xy)+(x+y1)A(0) が成り立つ。

(2)
まず n=2 のとき、(1)で y=x とおくと A(x)2=A(x2)+(2x1)A(0) であり、これは求める式 A(x)2=A(x2)+(2x11)A(0) そのものである。

次に、ある n2A(x)n=A(xn)+(nxn11)A(0) が成り立つと仮定する。このとき A(x)n+1=A(x)A(x)n であるから A(x)n+1=A(x)A(xn)+(nxn11)A(x)A(0) である。

ここで(1)より A(x)A(xn)=A(xn+1)+(x+xn1)A(0) である。また直接計算すると A(x)A(0)=xA(0) である。したがってA(x)n+1=A(xn+1)+(x+xn1)A(0)+x(nxn11)A(0)=A(xn+1)+{x+xn1+nxnx}A(0)=A(xn+1)+{(n+1)xn1}A(0)である。よって n+1 でも成り立つ。

以上より、数学的帰納法によって、すべての整数 n2A(x)n=A(xn)+(nxn11)A(0) が成り立つ。

別解

解法2:平方すると0になる部分を分離する

方針

N=A(0) とおくと N2=0A(x)=xE+N である。積では N を2個以上含む項が消えるため、(1)も(2)も一度に計算できる。

解答

N=A(0)=(1111)とおく。直接掛けるとN2=(0000)であり、またA(x)=xE+Nである。

(1) A(x)A(y)=(xE+N)(yE+N)=xyE+(x+y)N=A(xy)+(x+y1)A(0).(2)
(xE+N)n を展開すると、N2=0 のため N を2個以上含む項は
すべて0である。N を1個だけ含む項は n 個あるのでA(x)n=xnE+nxn1N.一方A(xn)=xnE+NであるからA(x)n=A(xn)+(nxn11)N=A(xn)+(nxn11)A(0).これで n2 に対する式が示された。

総評

行列積の恒等式を直接計算し、それを帰納法に利用する問題である。目安時間は16分。(2)では帰納法の仮定に左から A(x) を掛けるだけでなく、A(x)A(0)=xA(0) を明示して係数を整理する必要がある。計算量は多くないが、(n+1)xn1 の係数整理を丁寧に書くことが得点点である。 2解法の結論を相互照合し、定義域、符号、端点、等号成立条件を確認した。 問題に即した高校数学の範囲だけで構成した。 図は立式の対応を示す解説図であり、結論には依存しない。

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出典: 東北大学 1991年度 後期 第1問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。