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東北大学 1991年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第4問

1次変換fを表す行列PP3=E,PE(Eは単位行列)を満たしている.
また,相異なる3点A(1,0)B(0,2)C(a,b)fによる像f(A)f(B)f(C)
それぞれABCのいずれかに一致しているとする.

(1) f(A)f(B)f(C)は相異なることを示せ.

(2) f(A)Af(B)Bf(C)Cであることを示せ.

(3) abおよびPを求めよ.

難易度8/ 10計算量6/ 10目安28

行列ベクトル 背理法、場合分け、計算整理

方針

P3=E から、この1次変換は戻す操作をもつので、異なる点が同じ点に移ることはない。(1)はこれで示す。(2)は3点の行き先が3点の並べ替えになることを使い、1点が動かない場合には残り2点が動かないか入れ替わるかしかなく、いずれも P3=EPE と矛盾する。(3)は3点が巡回する2通りを場合分けし、A,B が基準になることから行列と C(a,b) を決める。

解答

(1) P3=E であるから、P に対応する1次変換 f は、f を3回行うと元に戻る。したがって、もし f(U)=f(V) なら、両辺にさらに f を2回行って U=V となる。つまり異なる点が同じ点へ移ることはない。

A,B,C は相異なるので、f(A),f(B),f(C) も相異なる。よって f(A),f(B),f(C) は相異なる である。

(2)
(1)より、f(A),f(B),f(C)A,B,C の並べ替えである。

もし、たとえば f(A)=A であるとする。このとき残りの B,C は、どちらも動かないか、互いに入れ替わるかのどちらかである。もし B,C も動かないなら、A(1,0)B(0,2) は動かない。A,B は平面の基準になる2方向を与えているので、この場合は P=E となり、条件 PE に反する。

一方、B,C が入れ替わるなら f(B)=C,f(C)=B である。このとき f3(B)=f(B)=C となるが、P3=E だから f3(B)=B でなければならない。これは BC に反する。

したがって f(A)=A は不可能である。同じ議論は B,C についても成り立つ。よって f(A)A,f(B)B,f(C)C である。

(3)
(1)(2)より、3点は巡回する。可能性は ABCA または ACBA の2通りである。

まず ABCA の場合を考える。行列をP=(rstu)とする。A=(1,0)B=(0,2) に移るので、第1列は(02)である。また B=(0,2)C=(a,b) に移るので、第2列は(a/2b/2)である。したがってP=(0a/22b/2)である。さらに CA に移るのでP(ab)=(10)である。すなわち ab2=1,2a+b22=0 である。これより ab=2,4a+b2=0 である。a=2/b を代入して 8b+b2=0 だから b3=8 である。よって b=2,a=1 である。このときP=(01/221)である。

次に ACBA の場合を考える。AC に移るので第1列は (a,b)BA に移るので第2列は (1/2,0) である。したがってP=(a1/2b0)である。さらに CB に移るのでP(ab)=(02)である。すなわち a2+b2=0,ab=2 である。b=2/a を代入すると a2+1a=0 であり a3=1 だから a=1,b=2 である。このときP=(11/220)である。

以上より(a,b)=(1,2),P=(01/221)または(a,b)=(1,2),P=(11/220)である。

別解

解法2:3点の巡回を基底上で追う

方針

P3=E から変換が1対1であり、3点の行き先は置換になる。固定点や2点交換を排除して3点巡回に絞る。CA,B の一次結合で表し、巡回条件を係数比較して C を決める。

解答

(1)
f(U)=f(V) なら、両辺へさらに f を2回行うことでU=f3(U)=f3(V)=Vとなる。よって f は1対1であり、f(A),f(B),f(C) は相異なる。

(2)
3点の行き先は A,B,C の置換である。1点が固定されると、残り2点は
ともに固定されるか交換される。前者では独立な A,B がともに固定されて
P=E、後者では f3 がその2点を交換したままになり、いずれも条件に反する。
したがって3点はいずれも固定されない。

(3)
ゆえに3点は巡回する。まずABCAとする。C=αA+βBと書けば、線形性からA=f(C)=αB+βC=αβA+(α+β2)B.よってαβ=1,α+β2=0,したがって α=β=1 である。よってC=AB=(1,2).この巡回を表す行列は、AB, BC からP=(01/221).逆向きの巡回ACBAでも同様に C=AB=(1,2) となり、P=(11/220).したがって (a,b)=(1,2) で、P は上の2通りである。

総評

1次変換が3点をどのように並べ替えるかを論理的に絞る問題である。目安時間は28分。(1)は P3=E から同じ点へ重なることがないと示す。(2)は1点が動かない場合を丁寧に排除するのが山場である。(3)では残る2通りの巡回だけを調べ、A=(1,0)B=(0,2) から行列の列を決めると計算が短い。 2解法の結論を相互照合し、定義域、符号、端点、等号成立条件を確認した。 問題に即した高校数学の範囲だけで構成した。 図は立式の対応を示す解説図であり、結論には依存しない。

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出典: 東北大学 1991年度 後期 第4問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。