方針
(*)の右端の積分は定数なので、解は必ず x2−2x+k の形になる。(1)は x2−2x+k=(x−1)2+k−1 と見て、k≧1 と 0≦k<1 に分ける。後者では負になる区間だけを反転して積分を計算し、不等式に直す。(2)(3)はk=167∫∣x2−2x+k∣dxを解くが、k<1 の場合は(1)の不等式から矛盾を出す。
解答
(1) x2−2x+k=(x−1)2+k−1.まず k≧1 では二次式は [−1,1] で非負だから∫−11∣x2−2x+k∣dx=∫−11(x2−2x+k)dx=32+2k≧34+k.次に 0≦k<1 とし、r=1−k(0<r≦1)とおく。二次式は 1−r<x≦1 で負になるので∫−11∣x2−2x+k∣dx=32+2k−2∫1−r1{(x−1)2−r2}dx=32+2k+34r3.k=1−r2 を用いると、右辺と 4/3+k との差は31−3r2+4r3.ϕ(r)=1−3r2+4r3とおけばϕ′(r)=6r(2r−1).0≦r≦1 での最小値は r=1/2 のときϕ(21)=43>0.よって所要の不等式が成り立つ。
(2)
f(x)=x2−2x+k とおくと、(*)の定数項からk=167∫−11∣x2−2x+k∣dx.k≧1 では積分は 2/3+2k だからk=167(32+2k),k=37.したがってf(x)=x2−2x+37.(3)
0≦k<1 の解があると仮定する。(1)からk≧167(34+k).よってk≧2728>1となり矛盾する。したがって解は存在しない。
別解
解法2:負にならない半区間だけで下から評価する
方針
(1) は [−1,0] で二次式が必ず正であることだけを使う。絶対値積分全体はその半区間の積分以上なので、必要な下界が一度で出る。(2)(3) は定数項の条件へ代入する。
解答
(1)
−1≦x≦0、k≧0 ではx2−2x+k≧0.したがって∫−11∣x2−2x+k∣dx≧∫−10(x2−2x+k)dx=[3x3−x2+kx]−10=34+k.(2)
f(x)=x2−2x+k が(*)を満たす条件はk=167∫−11∣x2−2x+k∣dx.k≧1 では二次式は [−1,1] で負にならないので∫−11∣x2−2x+k∣dx=32+2k.よってk=167(32+2k),k=37.したがってf(x)=x2−2x+37.(3)
0≦k<1 の解があると仮定する。(1)からk≧167(34+k).整理するとk≧2728>1となり矛盾する。したがってこの範囲の解は存在しない。
総評
難度は10段階中7、計算量は10段階中6。絶対値積分は、どこで2次式が負になるかを先に押さえるのが要点である。(3)は直接方程式を解きに行くより、(1)の不等式を(*)の定数項条件へ代入すると短く矛盾が出る。試験場では22分程度で、k≧1 と 0≦k<1 の場合分けを明確に分けて書きたい。
冊子PDFで見る東北大の積分の問題で問題集を作る
出典: 東北大学 1990年度 後期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。