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東北大学 1992年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第1問

行列A=(abcd),B=(acbd)について,次の問に答えよ.

(1) 等式 AB=BA が成り立つとき,A の成分の間にはどのような関係があるか.

(2) a=35 のとき,AB=BA=(1001)を満たす行列 A をすべて求めよ.

難易度6/ 10計算量5/ 10目安18

行列 恒等式比較、場合分け、計算整理

方針

まず行列積を実際に計算し,対応する成分を比較する。非対角成分は b2=c2(cb)(ad)=0 に分かれるので,b=c の場合と b=c の場合に整理する。(2)では(1)の分類をそのまま使い,a=3/5 を代入して,AB=I から残りの成分を決める。特に b=c のときは A2=Ib=c,a=d のときは回転型の形になり,どちらも b2=16/25 に帰着する。

解答

(1)
直接計算するとAB=(a2+b2ac+bdac+bdc2+d2),BA=(a2+c2ab+cdab+cdb2+d2)である。したがって AB=BA が成り立つための条件は b2=c2,ac+bd=ab+cd である。後者は a(cb)+d(bc)=(cb)(ad)=0 と書ける。

まず b2=c2 から,b=c または b=c である。b=c のときは (cb)(ad)=0 は自動的に成り立つ。b=c のとき,もし b=0 なら b=c の場合に含まれる。b0 なら cb0 なので a=d が必要である。

よって求める関係は b=cまたはb=cかつa=d である。

(2) a=3/5 とする。(1)の分類に従って調べる。

まず b=c の場合,B=A であるから AB=IA2=I を意味する。すなわち(3/5bbd)2=Iである。成分を比較すると 925+b2=1,b(35+d)=0,b2+d2=1 となる。第一式から b=±4/5 であり,特に b0 なので第二式から d=3/5 である。したがって(3/54/54/53/5),(3/54/54/53/5)を得る。

次に b=c かつ a=d の場合,A=(3/5bb3/5),B=(3/5bb3/5)である。このときAB=BA=(9/25+b2009/25+b2)だから,AB=BA=I となるためには 925+b2=1 であればよい。よって b=±4/5 であり,(3/54/54/53/5),(3/54/54/53/5)を得る。

以上より,求める行列は(3/54/54/53/5),(3/54/54/53/5),(3/54/54/53/5),(3/54/54/53/5)である。

別解

解法2

方針

B=AT であることを利用する。(1)では AAT
ATA の対角・非対角成分を「行と列の長さ・内積」として比較する。
(2)では AAT=I を、2本の行ベクトルが単位ベクトルで互いに直交する条件として解く。

解答

(1)

B=AT である。AB=AAT の対角成分は2本の行の長さの二乗,
BA=ATA の対角成分は2本の列の長さの二乗である。したがってa2+b2=a2+c2,c2+d2=b2+d2より b2=c2 を得る。また非対角成分の比較からac+bd=ab+cd,(cb)(ad)=0である。ゆえに必要十分な関係はb=cまたはb=c, a=dである。実際、どちらの場合も上の2条件を満たすので十分性も確認できる。

(2)

AB=AAT=I より、A の2本の行は長さ1で互いに直交する。
a=35 だから、第1行の長さから(35)2+b2=1,b=±45.第1列の長さから同様に c=±45 である。行の直交条件は35c+bd=0.c=b のとき d=35c=b のとき d=35 となる。したがって(35454535),(35454535),(35454535),(35454535)の4個である。各行列について AAT=ATA=I を直接確かめられる。

総評

行列積の成分比較から場合分けに持ち込む問題である。目安時間は18分。(1)では b2=c2 だけで終わらせず,もう一つの条件 (cb)(ad)=0 と組み合わせて必要十分に整理することが重要である。(2)は(1)の分類を利用すると計算が半分になる。b=c の場合と b=c,a=d の場合を混同すると符号違いの行列を落としやすい。 2解法の結論、端点、等号条件を独立に照合した。行列を明示する問題なので、当時の高校課程に含まれる2次行列だけを用いている。

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出典: 東北大学 1992年度 前期 第1問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。