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東北大学 1993年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第1問

2つの列ベクトルU=(21),V=(13)と,
成分がすべて実数である行列A=(abcd)についてA2U=VとA2V=Uが同時には成立しないことを証明せよ.

難易度5/ 10計算量3/ 10目安15分

行列、論証・証明 背理法、計算整理

方針

U,V を列に並べた行列の行列式を調べ、2つのベクトルが同一直線上にないことをまず確認する。B=A2 とおくと、条件は B が U と V を入れ替えることを意味する。すると、U,V で作る平行四辺形の向きが反転するため det⁡B=−1 になる。一方 B=A2 なら det⁡B=(det⁡A)2≧0 であり、ここに矛盾が生じる。

解答

2つの列ベクトルを横に並べた行列をP=(2113)とおく。この行列式は det⁡P=2⋅3−1⋅1=5≠0 である。したがって、U と V は同じ直線上にはなく、P は逆行列をもつ。

いま、仮に条件を同時に満たす実行列 A が存在したとする。B=A2 とおくと BU=V,BV=U である。これは、列をまとめて書けばBP=(VU)ということである。右辺は P の2つの列を入れ替えたものなので(VU)=P(0110)である。よってBP=P(0110)となる。

両辺の行列式をとるとdet⁡Bdet⁡P=det⁡P⋅det⁡(0110)である。ここで det⁡P≠0 であり、またdet⁡(0110)=−1だから det⁡B=−1 を得る。

一方、B=A2 であるから det⁡B=det⁡(A2)=(det⁡A)2 である。A の成分はすべて実数なので、(det⁡A)2≧0 である。これは det⁡B=−1 と矛盾する。

したがって、A2U=V と A2V=U が同時に成り立つような実行列 A は存在しない。

別解

解法2

方針

B=A2 と置き、B が U,V を交換することから U−V が固有値 −1 に対応する方向になると読む。A と B=A2 は可換なので、A もこの1次元方向を保つ。そこで A(U−V)=λ(U−V) と書けば、2回作用させた倍率 λ2 が −1 になってしまう。

解答

B=A2 とおく。仮に条件が同時に成り立つならBU=V,BV=Uである。したがってB(U−V)=−(U−V).ここで B=A2 だから A と B は可換である。W=A(U−V)とおくとBW=BA(U−V)=AB(U−V)=−A(U−V)=−W.U,V は一次独立である。実際、det⁡(2113)=5≠0.そこで W=αU+βV と書くとBW=αV+βU,−W=−αU−βV.一次独立性から β=−α であり、A(U−V)=W=α(U−V)となる。両辺へもう一度 A を作用させればA2(U−V)=α2(U−V).一方、左辺は B(U−V)=−(U−V) である。U−V≠O なのでα2=−1を得るが、α は実数だから不可能である。よって条件を同時に満たす実行列 A は存在しない。

総評

行列式の意味を「面積の倍率と向き」として読めるかを問う証明問題。U,V が独立であることを det⁡P=5 で確認し、列の入れ替えが行列式を −1 倍することを使うのが中心である。最後に、A2 の行列式は実数の平方になるため負にならない、という一点で矛盾を閉じる。成分を全部文字で置いて解こうとすると長くなるので、行列式を使って一気に不可能性を示すのが最も整理されている。 行列式による向きの反転と、不変な1次元方向上で実数の平方が負にならないことの2経路を照合した。

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出典: 東北大学 1993年度 前期日程 第2次学力試験 文系 前期 第1問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。