方針
U,V を列に並べた行列の行列式を調べ、2つのベクトルが同一直線上にないことをまず確認する。B=A2 とおくと、条件は B が U と V を入れ替えることを意味する。すると、U,V で作る平行四辺形の向きが反転するため detB=−1 になる。一方 B=A2 なら detB=(detA)2≧0 であり、ここに矛盾が生じる。
解答
2つの列ベクトルを横に並べた行列をP=(2113)とおく。この行列式は detP=2⋅3−1⋅1=5=0 である。したがって、U と V は同じ直線上にはなく、P は逆行列をもつ。
いま、仮に条件を同時に満たす実行列 A が存在したとする。B=A2 とおくと BU=V,BV=U である。これは、列をまとめて書けばBP=(VU)ということである。右辺は P の2つの列を入れ替えたものなので(VU)=P(0110)である。よってBP=P(0110)となる。
両辺の行列式をとるとdetBdetP=detP⋅det(0110)である。ここで detP=0 であり、またdet(0110)=−1だから detB=−1 を得る。
一方、B=A2 であるから detB=det(A2)=(detA)2 である。A の成分はすべて実数なので、(detA)2≧0 である。これは detB=−1 と矛盾する。
したがって、A2U=V と A2V=U が同時に成り立つような実行列 A は存在しない。
別解
解法2
方針
B=A2 と置き、B が U,V を交換することから U−V が固有値 −1 に対応する方向になると読む。A と B=A2 は可換なので、A もこの1次元方向を保つ。そこで A(U−V)=λ(U−V) と書けば、2回作用させた倍率 λ2 が −1 になってしまう。
解答
B=A2 とおく。仮に条件が同時に成り立つならBU=V,BV=Uである。したがってB(U−V)=−(U−V).ここで B=A2 だから A と B は可換である。W=A(U−V)とおくとBW=BA(U−V)=AB(U−V)=−A(U−V)=−W.U,V は一次独立である。実際、det(2113)=5=0.そこで W=αU+βV と書くとBW=αV+βU,−W=−αU−βV.一次独立性から β=−α であり、A(U−V)=W=α(U−V)となる。両辺へもう一度 A を作用させればA2(U−V)=α2(U−V).一方、左辺は B(U−V)=−(U−V) である。U−V=O なのでα2=−1を得るが、α は実数だから不可能である。よって条件を同時に満たす実行列 A は存在しない。
総評
行列式の意味を「面積の倍率と向き」として読めるかを問う証明問題。U,V が独立であることを detP=5 で確認し、列の入れ替えが行列式を −1 倍することを使うのが中心である。最後に、A2 の行列式は実数の平方になるため負にならない、という一点で矛盾を閉じる。成分を全部文字で置いて解こうとすると長くなるので、行列式を使って一気に不可能性を示すのが最も整理されている。 行列式による向きの反転と、不変な1次元方向上で実数の平方が負にならないことの2経路を照合した。
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出典: 東北大学 1993年度 前期日程 第2次学力試験 文系 前期 第1問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。