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東北大学 1993年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第1問

2つの数列{ak},{bk}をそれぞれak=1k !(k=1, 2, ⋯ )bk=1k(k+1)(k=1, 2, ⋯ )と定める.また,n=1, 2, ⋯に対してsn=∑k=1n(−1)kak,tn=∑k=1nbk,un=∑k=1nakとおく.このとき,任意のnについて,次の(1),(2),(3)を証明せよ.

(1) {}sn<0

(2) {}tn<1

(3) {}un<2

難易度4/ 10計算量3/ 10目安10分

数列、論証・証明 不等式評価、和の計算

方針

(1) は交代和を2項ずつ組にして、各組が負になることを使う。n が奇数なら最後に負の項が1つ残るだけなので、やはり全体は負である。(2)は 1/(k(k+1))=1/k−1/(k+1) の望遠和。(3)は k!≧2k−1 を帰納法で確認し、un を初項1、公比 1/2 の有限等比和で上から押さえる。

解答

(1) sn=∑k=1n(−1)k1k!である。2項ずつまとめると−1(2m−1)!+1(2m)!=−2m(2m)!+1(2m)!=−2m−1(2m)!<0である。したがって、偶数番目までで区切った各組はすべて負である。 n が偶数なら sn はこのような負の組の和であるから sn<0 である。n が奇数なら、最後に −1n!<0 がさらに残るので、やはり sn<0 である。よって任意の n について sn<0 が成り立つ。

(2) bk=1k(k+1)=1k−1k+1 である。したがってtn=∑k=1n(1k−1k+1)=1−1n+1である。よって tn=1−1n+1<1 である。

(3)

まず k!≧2k−1 を用いる。これは k=1 で成り立ち、k≧1 から (k+1)!=(k+1)k!≧2k!≧2⋅2k−1=2k となるので、帰納法で成り立つ。

したがって ak=1k!≦12k−1 である。よってun=∑k=1n1k!≦∑k=1n12k−1=1+12+122+⋯+12n−1=2−12n−1<2である。したがって任意の n について un<2 が成り立つ。

別解

解法2

方針

(1) は負の項を捨てて偶数項だけで上から評価し、階乗を2の累乗で押さえる。(2)は tn=n/(n+1) を帰納法で示す。(3)は k!≧2⋅3k−2 (k≧2) を用い、公比 1/3 の等比和で2より小さく評価する。

解答

(1)

負の奇数番目の項を除けば和は大きくなるのでsn≦−1+∑2≦k≦nk は偶数1k!.(2j)!≧2j だから∑2≦k≦nk は偶数1k!≦∑j=1⌊n/2⌋12j<1.よって sn<0 である。

(2) tn=nn+1を帰納法で示す。n=1 では t1=1/2 で正しい。これが n で成り立つときtn+1=nn+1+1(n+1)(n+2)=n+1n+2.よって任意の n でtn=nn+1<1.(3)

k≧2 についてk!≧2⋅3k−2が成り立つ。k=2 では等号であり、次の因子 k+1≧3 を掛ければ帰納できる。したがってun=1+∑k=2n1k!≦1+12∑j=0n−213j<1+12⋅11−1/3=74<2.よって un<2 である。

総評

3つの不等式を、それぞれ交代和・望遠和・等比級数評価で処理する小問集合。(1)は符号の並びを眺めるだけでなく、−1/(2m−1)!+1/(2m)!<0 を式で示すことが大切である。(2)は基本的な部分分数分解。(3)では k!≧2k−1 の根拠を一言添えると、有限和が2未満である理由が明確になる。 組分け、帰納法、等比級数による別評価を使い分け、3不等式を有限和の段階で厳密に示した。

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出典: 東北大学 1993年度 後期日程 第2次学力試験 理系(後期) 後期 第1問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。