方針
(1) は交代和を2項ずつ組にして、各組が負になることを使う。n が奇数なら最後に負の項が1つ残るだけなので、やはり全体は負である。(2)は 1/(k(k+1))=1/k−1/(k+1) の望遠和。(3)は k!≧2k−1 を帰納法で確認し、un を初項1、公比 1/2 の有限等比和で上から押さえる。
解答
(1) sn=k=1∑n(−1)kk!1である。2項ずつまとめると−(2m−1)!1+(2m)!1=−(2m)!2m+(2m)!1=−(2m)!2m−1<0である。したがって、偶数番目までで区切った各組はすべて負である。 n が偶数なら sn はこのような負の組の和であるから sn<0 である。n が奇数なら、最後に −n!1<0 がさらに残るので、やはり sn<0 である。よって任意の n について sn<0 が成り立つ。
(2) bk=k(k+1)1=k1−k+11 である。したがってtn=k=1∑n(k1−k+11)=1−n+11である。よって tn=1−n+11<1 である。
(3)
まず k!≧2k−1 を用いる。これは k=1 で成り立ち、k≧1 から (k+1)!=(k+1)k!≧2k!≧2⋅2k−1=2k となるので、帰納法で成り立つ。
したがって ak=k!1≦2k−11 である。よってun=k=1∑nk!1≦k=1∑n2k−11=1+21+221+⋯+2n−11=2−2n−11<2である。したがって任意の n について un<2 が成り立つ。
別解
解法2
方針
(1) は負の項を捨てて偶数項だけで上から評価し、階乗を2の累乗で押さえる。(2)は tn=n/(n+1) を帰納法で示す。(3)は k!≧2⋅3k−2 (k≧2) を用い、公比 1/3 の等比和で2より小さく評価する。
解答
(1)
負の奇数番目の項を除けば和は大きくなるのでsn≦−1+2≦k≦nk は偶数∑k!1.(2j)!≧2j だから2≦k≦nk は偶数∑k!1≦j=1∑⌊n/2⌋2j1<1.よって sn<0 である。
(2) tn=n+1nを帰納法で示す。n=1 では t1=1/2 で正しい。これが n で成り立つときtn+1=n+1n+(n+1)(n+2)1=n+2n+1.よって任意の n でtn=n+1n<1.(3)
k≧2 についてk!≧2⋅3k−2が成り立つ。k=2 では等号であり、次の因子 k+1≧3 を掛ければ帰納できる。したがってun=1+k=2∑nk!1≦1+21j=0∑n−23j1<1+21⋅1−1/31=47<2.よって un<2 である。
総評
3つの不等式を、それぞれ交代和・望遠和・等比級数評価で処理する小問集合。(1)は符号の並びを眺めるだけでなく、−1/(2m−1)!+1/(2m)!<0 を式で示すことが大切である。(2)は基本的な部分分数分解。(3)では k!≧2k−1 の根拠を一言添えると、有限和が2未満である理由が明確になる。 組分け、帰納法、等比級数による別評価を使い分け、3不等式を有限和の段階で厳密に示した。
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出典: 東北大学 1993年度 後期日程 第2次学力試験 理系(後期) 後期 第1問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。