方針
(1) は3つの単位ベクトルの和が であることから、任意の2つの和が残り1つの反対向きになることを利用して内積を出す。(2)は 方向の単位ベクトルへの射影がベクトルの長さを超えないという事実を式にする。(3)は各頂点へ向かう3方向が互いに となる点を取り、(2)を3本のベクトルに加えて距離和の下界を作る。
解答
(1) とおく。これらはいずれも単位ベクトルであり、仮定より である。したがって である。両辺の長さの2乗を取ると である。一方、左辺はだから すなわち である。よって と のなす角は である。同様に他の2組についてもなす角はすべて である。
(2) とおくと、 は単位ベクトルである。任意のベクトル について、内積の定義からである。ここで は と のなす角である。 とすればである。右辺はなので、示すべき不等式が成り立つ。
(3)
三角形 のすべての内角が 未満であるとき、内部に を満たす点 がただ1つ存在する。この点を取る。
任意の点 に対して、 とおく。(2)をにそれぞれ適用するとである。同様の不等式を についても書いて加えるとである。
点 では3本の方向が互いに をなすので、(1)より括弧内の単位ベクトルの和は である。したがってである。よって距離の和を最小にする点は、三角形の内部で を満たす点である。
別解
解法2
方針
(3) では正三角形を外側に作り、60度回転で3本の距離を1本の折れ線へ変える。三角不等式の等号条件から120度点を特徴づける。
解答
(1)
単位ベクトルを とすると の長さの2乗を取ればよって である。他の組も同様なので、互いになす角は
すべて である。
(2) とおく。任意の に対しだから、 とすれば(3)
辺 の三角形と反対側に正三角形 を作る。任意の点 を のまわりに
回転した点を とするとしたがって三角不等式より等号は がこの順に一直線上にあるときに限る。このとき回転角が
であることから全内角が 未満なら、この条件を満たす点 は三角形の内部にただ1つ存在する。
よって求める点は、3頂点を見込む角がすべて となる点である。
総評
難度は10段階中8、計算量は10段階中6。目安は32分。いわゆる3頂点からの距離和を最小にする点を、ベクトルの不等式として証明する問題である。(2)の不等式は射影の長さ評価であり、(3)ではそれを3回足したときに単位ベクトルの和が消える構造が核心になる。 未満という条件は、求める点が三角形の内部に存在するための条件であり、角が 以上の頂点がある場合とは結論が変わる点も意識したい。 2つの解法は標準的な答案手順と、構造を使って検算できる別経路に分けた。等号条件、範囲、必要性と十分性を明示し、積分・総和・極限および主要な分数は読みやすい表示形式に統一した。