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東北大学 2004年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第6問

2次正方行列ABを次で定める.
A=(1001)
B=(12323212)

(1)AABBABBAを計算せよ.

(2) 集合{A,B}から重複を許していくつか取り出し,
いろいろな順番に並べて積を計算する.
このようにして得られる行列をすべて求めよ.

難易度5/ 10計算量5/ 10目安16

行列 計算整理、場合分け

方針

(1) は直接計算する。A2=B2=E で、ABBA は互いに逆向きの120度回転型行列になる。
(2) は A2=B2=E により同じ文字が続く部分を消せること、さらに (AB)3=E となることを使う。積は E,A,B,AB,BA,ABA の6個に閉じ、実際にそれぞれ得られることを確認する。

解答

(1)
直接計算するとAA=(1001)=Eである。またBB=(12323212)2=Eである。

さらにAB=(1001)(12323212)=(12323212)であり、BA=(12323212)である。

(2)
(1) より A2=B2=E である。したがって、積の中に AA または BB が続けて現れたら、それを E として消すことができる。よって、残る積は A,B が交互に現れる形だけを考えればよい。

また AB は120度の回転を表す行列であり、(AB)3=E である。したがって AB を繰り返して得られるものは E,AB,(AB)2 だけである。ここで (AB)2=BA である。

さらに先頭または末尾に A を掛けたものを考えると、得られる行列は E,A,B,AB,BA,ABA に限られる。実際、最後の1つはABA=(12323212)である。したがって求める行列は E,A,B,AB,BA,ABA の6個である。

条件・検算

関係 A2=B2=E(AB)3=E から任意の語が6個の標準形に簡約されることを示した。

別解

解法2(折り返しの合成)

方針

AB を平面の直線に関する折り返しとして解釈する。2つの軸のなす角から AB が120度回転であることを読み、正三角形の対称変換群として6個を列挙する。

解答

(1)
直接計算するとA2=B2=Eであり、AB=(12323212),BA=(12323212).(2)
Ay 軸に関する折り返しである。B も固有値 1,1 をもつ折り返しで、その軸と y 軸のなす角は
60 である。したがって合成 AB120 回転であり、(AB)3=E.回転はE,AB,(AB)2=BAの3個である。これらに折り返し A を合成すると、さらにA,B,ABAの3個を得る。回転と折り返しは行列式の符号が異なり、各3個も作用が異なるので重複しない。よって全部でE,A,B,AB,BA,ABAの6個である。

総評

行列の積が作る小さな集合を調べる問題で、目安時間は16分程度。直接計算で A2=B2=EAB,BA を正確に出すことが第一段階である。(2) では同じ文字が連続したら消せるため、積は交互列に限られる。(AB)3=E を確認すれば6個に閉じることが分かる。幾何的には2つの折り返しが作る正三角形型の対称性として理解できる。

冊子PDFで見る東北大の行列の問題で問題集を作る

出典: 東北大学 2004年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。