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東北大学 2003年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第6問

2次の正方行列ABA2=B2=O(Oは零行列)を満たすとする.次の(1),(2)を示せ.

(1) (A+B)2=sEsは実数,Eは単位行列)

(2) (A+B)2=OAOならば,B=tAtは実数)が成り立つ.

難易度7/ 10計算量6/ 10目安35

行列論証・証明 計算整理、必要十分条件、場合分け

方針

まず2次正方行列 XX2=O を満たすときの一般形を成分比較で求める。零行列の場合も含めて X=(abca)a2+bc=0 と書ける。これを A,B に適用すると、AB+BA の非対角成分が消え、対角成分が等しくなるので(1)が従う。(2)は (A+B)2=O から出る1本の式と B2=O を合わせ、AO のもとで b0b=0 に分けて BA の実数倍であることを示す。

解答

はじめに、2次正方行列 XX2=O を満たすときの形を調べる。X=(αβγδ)とおくと、X2=O からα2+βγ=0,β(α+δ)=0,γ(α+δ)=0,δ2+βγ=0を得る。β=γ=0 なら α=δ=0 であり、零行列である。そうでなければ β または γ が0でないので α+δ=0 である。いずれの場合もX=(abca),a2+bc=0と書ける。

(1)
上の形を A,B に適用してA=(abca),a2+bc=0B=(pqrp),p2+qr=0とおく。A2=B2=O だから (A+B)2=AB+BA である。直接計算するとAB+BA=(2ap+br+cq002ap+br+cq)=(2ap+br+cq)Eである。したがって s=2ap+br+cq とおけば (A+B)2=sE である。

(2) (A+B)2=O とする。(1)の計算より 2ap+br+cq=0 である。

まず b0 の場合を考える。a2+bc=0 より c=a2b である。また 2ap+br+cq=0c=a2/b を代入し、両辺に b を掛けると 2abp+b2ra2q=0 である。さらに B2=O より p2+qr=0 だから b2(p2+qr)=0 である。ここに b2r=a2q2abp を代入すると b2p2+q(a2q2abp)=0 すなわち (bpaq)2=0 を得る。よって p=qba である。これを 2abp+b2ra2q=0 に戻すと r=a2qb2=qbc である。したがって B=qbA となる。

次に b=0 の場合を考える。a2+bc=0 より a=0 である。いま AO だから c0 である。条件 2ap+br+cq=0cq=0 となるので q=0 である。さらに B2=O より p2+qr=p2=0 だから p=0 である。よってB=(00r0)=rcAである。

以上より、どの場合にも実数 t が存在して B=tA が成り立つ。

像は核へ入る

別解

解法2

方針

非零な冪零行列 A に適合する基底を取り、A(0100) にする。(1)は跡0の一般形から直接計算し、(2)はこの標準形で B の成分を絞る。

解答

(1)
X2=O を満たす2次行列はX=(xyzx),x2+yz=0と書ける。したがってA=(abca),B=(pqrp).A2=B2=O より(A+B)2=AB+BA=(2ap+br+cq)E.よって指定の実数 s が存在する。

(2)
AO かつ A2=O なので、あるベクトル e2 に対しe1=Ae20と取れる。すると Ae1=O だから、基底 (e1,e2) ではA=(0100).B=(pqrp),p2+qr=0と書く。この基底で(A+B)2=AB+BA=rE.仮定より r=0。さらに p2+qr=0 から p=0 である。したがってB=(0q00)=qA.元の基底へ戻してもスカラー倍の関係は変わらないので、実数 t=q により B=tA が成り立つ。

総評

抽象的に見えるが、2次行列なので成分比較で最後まで押し切れる問題である。目安時間は35分前後。最初に X2=O の一般形をきちんと作ると、(1)は一行の積計算で済む。(2)は「スカラー倍らしい」とだけ書くと不十分で、b0b=0 の場合分けを通して係数が本当に一致することを示す必要がある。特に AO から b=0 の場合に c0 が出る点を落とさないことが重要である。

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出典: 東北大学 2003年度 後期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。