方針
まず2次正方行列 が を満たすときの一般形を成分比較で求める。零行列の場合も含めて 、 と書ける。これを に適用すると、 の非対角成分が消え、対角成分が等しくなるので(1)が従う。(2)は から出る1本の式と を合わせ、 のもとで と に分けて が の実数倍であることを示す。
解答
はじめに、2次正方行列 が を満たすときの形を調べる。とおくと、 からを得る。 なら であり、零行列である。そうでなければ または が0でないので である。いずれの場合もと書ける。
(1)
上の形を に適用してとおく。 だから である。直接計算するとである。したがって とおけば である。
(2) とする。(1)の計算より である。
まず の場合を考える。 より である。また に を代入し、両辺に を掛けると である。さらに より だから である。ここに を代入すると すなわち を得る。よって である。これを に戻すと である。したがって となる。
次に の場合を考える。 より である。いま だから である。条件 は となるので である。さらに より だから である。よってである。
以上より、どの場合にも実数 が存在して が成り立つ。
像は核へ入る
別解
解法2
方針
非零な冪零行列 に適合する基底を取り、 を にする。(1)は跡0の一般形から直接計算し、(2)はこの標準形で の成分を絞る。
解答
(1)
を満たす2次行列はと書ける。したがって よりよって指定の実数 が存在する。
(2)
かつ なので、あるベクトル に対しと取れる。すると だから、基底 ではと書く。この基底で仮定より 。さらに から である。したがって元の基底へ戻してもスカラー倍の関係は変わらないので、実数 により が成り立つ。
総評
抽象的に見えるが、2次行列なので成分比較で最後まで押し切れる問題である。目安時間は35分前後。最初に の一般形をきちんと作ると、(1)は一行の積計算で済む。(2)は「スカラー倍らしい」とだけ書くと不十分で、 と の場合分けを通して係数が本当に一致することを示す必要がある。特に から の場合に が出る点を落とさないことが重要である。