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東北大学 2006年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第6問

E=(1001)
O=(0000)とし,
実数を成分とする2次正方行列A=(abcd)について
以下の問に答えよ.

(1) x=a+dとして,A2=xA+yEを満たす実数yを求めよ.

(2) AA3=EかつAEを満たすことは,AA2+A+E=Oを満たすことと同値であることを示せ.

(3) A6=EかつA2Eならば,A3=EまたはA3=Eがなりたつことを示せ.

難易度7/ 10計算量6/ 10目安32

行列論証・証明 計算整理、必要十分条件、場合分け

方針

(1) は2次行列を直接2乗し,A2(a+d)A が単位行列の定数倍になることを確かめる。(2)では (1) の形 A2=xA+yE を使って A3A,E の一次結合に直し,A が単位行列の実数倍になる場合を除いて係数比較する。(3)も同じく A6A,E の一次結合に直し,A2E に反する場合を除外して A2±A+E=O に帰着する。

解答

(1) A=(abcd),x=a+dとする。直接計算するとA2=(a2+bcab+bdac+cdbc+d2)であり,xA=(a+d)(abcd)=(a2+adab+bdac+cdad+d2)である。したがってA2xA=(bcad00bcad)=(bcad)Eである。よって y=bcad である。

(2)

(1) より A2=xA+yE と書ける。このときA3=A(xA+yE)=xA2+yA=x(xA+yE)+yA=(x2+y)A+xyEである。

まず A3=E かつ AE とする。このとき (x2+y)A+xyE=E である。もし x2+y0 なら,この式から AE の実数倍になる。すなわち A=λE と書ける。すると A3=E より λ3E=E なので,実数 λ について λ3=1 となり,λ=1 である。これは A=E を意味し,仮定に反する。したがって x2+y=0 でなければならない。

このとき上の式は xyE=E となるので xy=1 である。y=x2 を代入して x3=1 より x=1,y=1 である。したがって A2=xA+yE=AE となり,A2+A+E=O を得る。

逆に A2+A+E=O とする。このとき A=E なら左辺は 3E となり零行列でないので,AE である。また (AE)(A2+A+E)=A3E であり,左辺は零行列だから A3=E である。よって A3=E かつ AEA2+A+E=O である。

(3)

再び A2=xA+yE とおく。この関係を繰り返し用いると A6=PA+QE と書け,計算すると P=x(x2+y)(x2+3y) であり,Q=x4y+3x2y2+y3 である。実際,A3=(x2+y)A+xyE から順に A4,A5,A6A,E の一次結合へ直せばこの式を得る。

いま A6=E なので PA+(Q1)E=O である。もし P0 なら AE の実数倍になる。A=λE と書くと,A6=E より λ6=1 である。実数 λ では λ=1 または λ=1 だから,いずれも A2=E となり,仮定 A2E に反する。したがって P=0,Q=1 である。 P=x(x2+y)(x2+3y)=0 なので,次の3つを調べる。

まず x=0 のとき,Q=y3=1 より y=1 である。すると A2=E となり,仮定に反する。

次に x2+y=0 のとき,y=x2 である。このとき Q=x6 となるので,Q=1 より x=1またはx=1 である。x=1 なら y=1A2=AE だから A2+A+E=O である。よって(2)より A3=E である。x=1 なら y=1A2=AE だから A2A+E=O である。この両辺に A+E を掛けると (A+E)(A2A+E)=A3+E=O となり,A3=E である。

最後に x2+3y=0 のとき,y=x2/3 である。このとき Q=x627 となり,これは実数 x について 1 になれない。したがってこの場合は不可能である。

以上より A3=EまたはA3=E が成り立つ。

2次行列の冪を常に A,E の一次結合へ戻し、係数の因数分解で場合を尽くす。

総評

難度7,計算量6。目安時間は32分。(1)の関係は2次正方行列版の基本恒等式で,後半はこれを繰り返し使って高い冪を A,E の一次結合に戻す問題である。(2)では AE の実数倍になる例外を丁寧に排除すること,(3)では A2=E に反する場合を先に消すことが重要である。係数計算は長いので,P=x(x2+y)(x2+3y) と因数分解した形で整理すると見通しがよい。 PA+(Q1)E=O から係数を直ちに0とせず、AE の倍数となる例外を先に排除する。

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出典: 東北大学 2006年度 後期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。