方針
(1) は2次行列を直接2乗し, が単位行列の定数倍になることを確かめる。(2)では (1) の形 を使って を の一次結合に直し, が単位行列の実数倍になる場合を除いて係数比較する。(3)も同じく を の一次結合に直し, に反する場合を除外して に帰着する。
解答
(1) とする。直接計算するとであり,である。したがってである。よって である。
(2)
(1) より と書ける。このときである。
まず かつ とする。このとき である。もし なら,この式から は の実数倍になる。すなわち と書ける。すると より なので,実数 について となり, である。これは を意味し,仮定に反する。したがって でなければならない。
このとき上の式は となるので である。 を代入して より である。したがって となり, を得る。
逆に とする。このとき なら左辺は となり零行列でないので, である。また であり,左辺は零行列だから である。よって である。
(3)
再び とおく。この関係を繰り返し用いると と書け,計算すると であり, である。実際, から順に を の一次結合へ直せばこの式を得る。
いま なので である。もし なら は の実数倍になる。 と書くと, より である。実数 では または だから,いずれも となり,仮定 に反する。したがって である。 なので,次の3つを調べる。
まず のとき, より である。すると となり,仮定に反する。
次に のとき, である。このとき となるので, より である。 なら で だから である。よって(2)より である。 なら で だから である。この両辺に を掛けると となり, である。
最後に のとき, である。このとき となり,これは実数 について になれない。したがってこの場合は不可能である。
以上より が成り立つ。
2次行列の冪を常に の一次結合へ戻し、係数の因数分解で場合を尽くす。
総評
難度7,計算量6。目安時間は32分。(1)の関係は2次正方行列版の基本恒等式で,後半はこれを繰り返し使って高い冪を の一次結合に戻す問題である。(2)では が の実数倍になる例外を丁寧に排除すること,(3)では に反する場合を先に消すことが重要である。係数計算は長いので, と因数分解した形で整理すると見通しがよい。 から係数を直ちに0とせず、 が の倍数となる例外を先に排除する。