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東北大学 2006年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第5問

3次正方行列ABO
A=(000010000)
B=(010001000)
O=(000000000)とする.
以下の問に答えよ.

(1) 2以上の自然数kに対して,(A+B)kを求めよ.

(2) すべての自然数mnに対して,AmBnおよびBnAmを求めよ.

(3) 等式(A+B)X=X(A+B)=Oを満たす3次正方行列
X=(x1x2x3y1y2y3z1z2z3)
を求めよ.

難易度5/ 10計算量5/ 10目安22

行列 計算整理、場合分け

方針

まず Am=AB2B3=O を直接計算して,冪の形を固定する。(A+B)k は2乗した後に同じ行列で安定することを確認すればよい。最後は N=A+B とおき,NX=OXN=O をそれぞれ成分で計算して,どの行・列が0になるかを順に絞る。

解答

(1) A+B=(010011000)である。直接計算すると(A+B)2=(011011000)である。さらに(011011000)(010011000)=(011011000)なので,2乗以降は変わらない。したがって k2(A+B)k=(011011000)である。

(2) AA2=A を満たすので,すべての自然数 m について Am=A である。またB2=(001000000),B3=OであるからBn={B(n=1),B2(n=2),O(n3)である。

したがって AmBn=ABn であり,AB=(000001000),AB2=OよりAmBn={(000001000)(n=1),O(n2)である。

同様に BnAm=BnA であり,BA=(010000000),B2A=OよりBnAm={(010000000)(n=1),O(n2)である。

(3) N=A+B=(010011000)とおく。まず NX=O を計算する。N の第1行は (0,1,0),第2行は (0,1,1) なのでNX=(y1y2y3y1+z1y2+z2y3+z3000)である。これが零行列なので y1=y2=y3=0,z1=z2=z3=0 である。

次に XN=O を用いる。上の結果からX=(x1x2x3000000)である。このときXN=(0x1+x2x2000000)であるから x2=0,x1+x2=0 より x1=x2=0 である。x3 には条件がないので,任意の実数 t を用いてX=(00t000000)(tR)である。

冪の安定と左右からの零化条件を分けて調べると、残る成分は (1,3) 成分だけになる。

別解

解法2(標準基底への作用を見る方法)

方針

行列を成分表ではなく、標準基底 e1,e2,e3 をどこへ移す写像として読む。冪の安定、核と像、左右零化条件を同じ見方で処理する。

解答

(1)

N=A+B とおき、標準基底を e1,e2,e3 とする。列ベクトルを読むとNe1=0,Ne2=e1+e2,Ne3=e2.したがってN2e1=0,N2e2=e1+e2,N2e3=e1+e2.さらに N(e1+e2)=e1+e2 なので、k2 ではNke1=0,Nke2=Nke3=e1+e2.これを列に並べればNk=(011011000)(k2)を得る。

(2)

Ae2 成分だけを残す写像であり、BBe1=0,Be2=e1,Be3=e2を満たす。よって B2e3=e1B3=O である。この作用を順に合成すればAmB=(000001000),BAm=(010000000),かつ n2 では両方とも O となる。

(3)

最後に NX=OX の各列が kerN に入ることを意味する。kerN=e1なので、X の像は e1 に含まれる。一方 XN=O よりX(e1+e2)=0,X(e2)=0であるから Xe1=Xe2=0 である。Xe3=te1 だけが自由に残るのでX=(00t000000)(tR)となる。

総評

難度5,計算量5。目安時間は22分。行列の性質を抽象化しすぎず,必要な積を直接出すのが速い。B3=O(A+B)2 の安定性を確認すれば前半はほぼ終わる。(3)は (A+B)X=O だけでは x1,x2,x3 が残るので,必ず右から掛ける条件 X(A+B)=O まで使う。 AmBnBnAm は一般に一致しない。左右の積を別々に計算する。

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出典: 東北大学 2006年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。