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東北大学 2004年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第5問

zを絶対値が1の複素数とする.このとき以下の問いに答えよ.

(1) z3−zの実部が0となるようなzをすべて求めよ.

(2) z5+zの絶対値が1となるようなzをすべて求めよ.

(3) nを自然数とする.
zn+1の絶対値が1となるようなzをすべてかけ合わせて得られる複素数を求めよ.

難易度6/ 10計算量5/ 10目安20分

複素数平面、三角関数 複素数の極形式、三角比の利用、計算整理

方針

∣z∣=1 なので z=cos⁡θ+isin⁡θ と置く。(1) は実部 cos⁡3θ−cos⁡θ を和積公式で因数分解する。(2) は z5+z=z(z4+1) として絶対値を 2∣cos⁡2θ∣ に直す。
(3) は ∣zn+1∣=1 を、単位円上の点 zn が −1 を中心とする条件ではなく、1+zn の長さ条件として図形的に読む。該当する zn は3乗して1になる2点であり、すべての解は z2n+zn+1=0 の根になるので根の積を使う。

解答

(1) ∣z∣=1 だから z=cos⁡θ+isin⁡θ とおくことができる。このとき z3−z の実部は cos⁡3θ−cos⁡θ である。和積公式よりcos⁡3θ−cos⁡θ=−2sin⁡2θsin⁡θ=−4sin⁡2θcos⁡θである。したがって実部が 0 となるのは sin⁡θ=0またはcos⁡θ=0 のときである。よって z=1,−1,i,−i である。

(2) ∣z5+z∣=∣z∣ ∣z4+1∣=∣z4+1∣ である。z=eiθ とすると z4+1=e4iθ+1=2e2iθcos⁡2θ なので ∣z5+z∣=2∣cos⁡2θ∣ である。これが 1 となる条件は ∣cos⁡2θ∣=12 である。したがって 2θ≡±π3, ±2π3(mod2π) であり、求める z は z=cos⁡kπ6+isin⁡kπ6(k=1,2,4,5,7,8,10,11) である。

(3) ζ=zn とおくと、∣ζ∣=1 である。条件は ∣ζ+1∣=1 である。単位円上の点 ζ で、点 −1 からの距離が 1 であるものを考えると、ζ=cos⁡2π3±isin⁡2π3 である。すなわち ζ2+ζ+1=0 である。したがって求める z は z2n+zn+1=0 を満たす全ての複素数である。

この多項式は次数 2n、最高次係数 1、定数項 1 である。よって根をすべて掛け合わせた値は (−1)2n⋅1=1 である。したがって求める複素数は 1 である。

条件・検算

単位円上の候補を1周期内で重複なく列挙し、(3) の多項式が重根をもたないことも確認した。

別解

解法2(1の累乗根)

方針

(1) (2) は三角表示で候補を列挙する。(3) は条件を z3n=1, zn≠1 と読み替え、3n乗根全体の積をn乗根全体の積で割って求める。

解答

(1)
z=eiθ とおくと、実部はcos⁡3θ−cos⁡θ=−4sin⁡2θcos⁡θ.よってz=1,−1,i,−i.(2)∣z5+z∣=∣z4+1∣=2∣cos⁡2θ∣だから、条件は ∣cos⁡2θ∣=12 である。したがってz=cos⁡kπ6+isin⁡kπ6(k=1,2,4,5,7,8,10,11).(3)
∣zn+1∣=1、∣z∣=1 より、単位円上の点 zn はzn=e2πi/3またはe4πi/3である。したがってz3n=1,zn≠1.1の m 乗根全体の積は、多項式 Xm−1 の根の積から(−1)m+1である。よって求める積は(−1)3n+1(−1)n+1=(−1)2n=1である。

総評

単位円上の複素数を三角関数で処理する問題で、目安時間は20分程度。(1),(2) は偏角表示で標準的に解けるが、角の候補を1周分漏れなく列挙する必要がある。(3) は ∣zn+1∣=1 の図形的意味を読み、zn が偏角 ±2π/3 の2点に限られることを使う。最後は個々の根を並べるより、多項式の根の積を使うのが簡潔である。

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出典: 東北大学 2004年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。