方針
an(p) は 2n 人中 n 人以上が正解する二項分布の和として書く。pn で割り切れることは各項の p の指数が n 以上であることから従う。an−an−1 については、不合格確率 qn=1−an を導入し、qn と qn−1 の各項がもつ (1-p) の因数を比較する。(2)は a2、a3 を具体的に展開して差を因数分解し、0≦p≦1 で符号を読む。
解答
(1)
2n 人中 n 人以上が正解すれば合格であるから an(p)=k=n∑2n2nCkpk(1−p)2n−k である。この和の各項は pn を因数にもつので、an(p) は pn で割り切れる。
次に、不合格となる確率を qn(p)=1−an(p) とおく。すると qn(p)=k=0∑n−12nCkpk(1−p)2n−k である。この和では 2n−k≧n+1 なので、各項は (1−p)n+1 を因数にもつ。特に qn(p) は (1−p)n で割り切れる。
同様に qn−1(p)=k=0∑n−22n−2Ckpk(1−p)2n−2−k であり、ここでは 2n−2−k≧n なので、qn−1(p) は (1−p)n で割り切れる。したがって an(p)−an−1(p)=qn−1(p)−qn(p) も (1−p)n で割り切れる。
(2)
まずa2(p)=4C2p2(1−p)2+4C3p3(1−p)+p4=p2(3p2−8p+6)である。またa3(p)=6C3p3(1−p)3+6C4p4(1−p)2+6C5p5(1−p)+p6=p3(−10p3+36p2−45p+20)である。よってa3(p)−a2(p)=−10p6+36p5−48p4+28p3−6p2=−2p2(p−1)3(5p−3)である。 0≦p≦1 では p2≧0 であり、(p−1)3≦0 である。したがって −2p2(p−1)3 は 0 以上で、差の符号は 5p-3 の符号で決まる。ただし p=0 では差は 0 である。ゆえに a3(p)≧a2(p) となる範囲は p=0,53≦p≦1 である。
境界事象だけを比較すると an−an−1 の因数分解が直接得られる。
別解
解法2
方針
2n−2 人の集団へ2人を追加すると考える。元の正解者数が n−2 または n−1 のときだけ合否が変わるため、その2事象の確率差を取って an−an−1 を直接因数分解する。
解答
(1) まずan(p)=k=n∑2n2nCkpk(1−p)2n−kなので、各項が pn を因数にもつ。
次に 2n−2 人へ2人を追加する。元の正解者数を X、追加2人の正解者数を Y とする。合否が変わるのは次の2場合だけである。Xn−2n−1Y20変化不合格から合格合格から不合格したがってan−an−1=2n−2Cn−2pn(1−p)n−2n−2Cn−1pn−1(1−p)n+1.2n−2Cn−2=nn−12n−2Cn−1を用いて整理するとan−an−1=n12n−2Cn−1pn−1(1−p)n{(2n−1)p−n}.よって (1−p)n で割り切れる。
(2) n=3 とするとa3−a2=2p2(1−p)3(5p−3).0≦p≦1 であるから、これは p=0 または p≧3/5 のとき0以上である。したがってp=0,53≦p≦1である。
総評
難度7、計算量6。一般の n に対する因数の主張と、具体的な n=2,3 の比較が組み合わさった問題である。an−an−1 を直接展開するより、不合格確率 qn に変えると (1-p) の因数が見えやすい。(2)は展開量が多いので、a2、a3 を段階的に整理し、最後の因数分解で符号を読む。p=0 の孤立した等号成立を落としやすい。25分程度を見込む難しめの確率計算である。
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出典: 東北大学 2007年度 後期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。