方針
(1) は与式の共役を取り,元の式との差を計算する。(2)ではγが実数なので(1)から(α−βˉ)zが実数であることを読み取る。δ=α−βˉと置き,δ=0ならδz=λと実数パラメータ化して元の式へ戻す。∣α∣=∣β∣により1次項が消えることを計算で確認し,δ=0の場合は円になって無数解をもつことと比較する。
解答
(1)
与式 zzˉ+αz+βzˉ+γ=0 の共役をとると zzˉ+αˉzˉ+βˉz+γˉ=0 である。元の式からこの式を引くと (α−βˉ)z+(β−αˉ)zˉ+γ−γˉ=0 となる。β−αˉ=−(αˉ−β)であるから (α−βˉ)z−(αˉ−β)zˉ+γ−γˉ=0 を得る。
(2) γは負の実数であるからγ−γˉ=0である。δ=α−βˉとおくと,(1)の式は δz−δˉzˉ=0 である。これはδzが実数であることを表している。
まずδ=0,すなわちα=βˉとする。このとき実数λを用いて δz=λ と書けるので,z=λ/δである。これを元の式に代入すると∣δ∣2λ2+λ(δα+δˉβ)+γ=0となる。ここでδα+δˉβ=∣δ∣2αδˉ+βδ=∣δ∣2α(αˉ−β)+β(α−βˉ)=∣δ∣2∣α∣2−∣β∣2=0である。したがって ∣δ∣2λ2+γ=0 となる。γ<0より λ=±∣δ∣−γ の2つの実数解があり,対応するzも2個である。
次にδ=0,すなわちα=βˉとする。このとき元の式は ∣z∣2+αz+αˉzˉ+γ=0 であり,平方完成すると ∣z+αˉ∣2=∣α∣2−γ である。∣α∣=0かつγ<0より右辺は正であるから,これは円を表し,解は無数にある。
よって,解がちょうど2個あるための必要十分条件は α=βˉ である。
別解
解法2
方針
複素係数を実部・虚部に分け,元の方程式を円と直線の共通部分として解釈する。∣α∣=∣β∣により円の中心から直線へ下ろした垂線の足が原点になり,γ<0から2交点をもつことが幾何的に分かる。
解答
(1) 与式の共役はzzˉ+βˉz+αˉzˉ+γˉ=0である。これを元の式から引けば(α−βˉ)z−(αˉ−β)zˉ+γ−γˉ=0を得る。
(2) α=A+Bi,β=C+Di,z=x+yiとする。γは実数なので,実部・虚部の条件は{x2+y2+(A+C)x+(D−B)y+γ=0,(B+D)x+(A−C)y=0.第1式は中心P(−2A+C,−2D−B)の円であり,第2式は原点を通る直線である。
まずα=βˉとする。このとき第2式は真の直線で,方向ベクトルとしてv=(A−C,−B−D)を取れる。中心の位置ベクトルとの内積はOP⋅v=−21{(A2+B2)−(C2+D2)}=0である。ここで∣α∣=∣β∣を用いた。したがって円の中心からこの直線への垂線の足は原点である。一方,円の半径をRとするとR2=∣OP∣2−γ>∣OP∣2であるから,直線は円を異なる2点で横切る。よって解はちょうど2個である。
α=βˉなら第2式は恒等的に0となり,第1式の円周上のすべての点が解になる。したがって必要十分条件はα=βˉである。
総評
難度7,計算量6。目安時間は31分。(1)の差を取るだけなら短いが,(2)ではその式が「(α−βˉ)zは実数」という制約を表すことに気づけるかが核心である。∣α∣=∣β∣で1次項が消える計算を省くと必要十分性が弱くなる。α=βˉの場合を忘れると,2解ではなく円周上の無数解になる点を見落とすので注意したい。
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出典: 東北大学 2017年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。