方針
f′′(x)>0 から f′(x) が狭義単調増加であることを使う。(1)は p′(t) を計算し、平均値の定理で f(y)−f(x)=(y−x)f′(ξ) と書いて端点での符号を判定する。(2)は p′′(t)<0 から p のグラフが上に凸で、端点 p(0)=p(1)=0 を結ぶ弦より上にあることを用いる。(3)は差分 F(u)=f(u+δ)−f(u) を作り、F が増加することに帰着する。
解答
(1) p(t)=(1−t)f(x)+tf(y)−f((1−t)x+ty) である。微分すると p′(t)=f(y)−f(x)−(y−x)f′((1−t)x+ty) である。
平均値の定理より、x と y の間にある実数 ξ が存在して f(y)−f(x)=(y−x)f′(ξ) と書ける。また f′′(x)>0 より f′(x) は狭義単調増加である。
まず x<y とする。このとき x<ξ<y なので p′(0)=(y−x){f′(ξ)−f′(x)}>0 であり、p′(1)=(y−x){f′(ξ)−f′(y)}<0 である。y<x の場合も、y−x<0 であることと y<ξ<x を用いれば同じく p′(0)>0,p′(1)<0 が得られる。
(2)
さらに微分すると p′′(t)=−(y−x)2f′′((1−t)x+ty)<0 である。したがって p(t) のグラフは上に凸である。また p(0)=0,p(1)=0 である。上に凸で直線ではないグラフは、端点を結ぶ線分よりも内部で上にある。端点を結ぶ線分は y=0 であるから、0<t<1 では p(t)>0 である。
(3) δ=b−a>0 とおき、F(u)=f(u+δ)−f(u) を考える。微分すると F′(u)=f′(u+δ)−f′(u) である。f′ は狭義単調増加で、u+δ>u だから F′(u)>0 である。したがって F(u) は狭義単調増加である。 a<b<c<d より d−b>c−b である。よって F(d−b)>F(c−b) である。これを展開すると f(d−a)−f(d−b)>f(c−a)−f(c−b) であり、移項して f(d−a)+f(c−b)>f(d−b)+f(c−a) を得る。
別解
解法2(狭義凸性を2回適用する)
方針
(1) (2)で f>0 から狭義凸性を示す。(3)では d−b と c−a が、d−a と c−b を互いに逆の比で内分することを確かめ、(2)を2本足す。
解答
(1) p′(t)=f(y)−f(x)−(y−x)f′((1−t)x+ty).平均値の定理により、x,y の間の ξ を用いてf(y)−f(x)=(y−x)f′(ξ)と書ける。f′′>0 だから f′ は狭義単調増加である。x<y と y<x のどちらでも符号を合わせて比較すればp′(0)>0,p′(1)<0.(2)p′′(t)=−(y−x)2f′′((1−t)x+ty)<0.したがって p は狭義に上に凸であり、p(0)=p(1)=0 だからp(t)>0(0<t<1).すなわち、相異なる X,Y と 0<t<1 に対しf((1−t)X+tY)<(1−t)f(X)+tf(Y)である。
(3) X=d−a,Y=c−bとおく。X>Y であり、λ=(b−a)+(d−c)d−cとおけば 0<λ<1 である。直接計算するとd−b=λX+(1−λ)Y,またc−a=(1−λ)X+λY.(2)をそれぞれに適用してf(d−b)f(c−a)<λf(X)+(1−λ)f(Y),<(1−λ)f(X)+λf(Y).辺々を加えればf(d−b)+f(c−a)<f(d−a)+f(c−b),したがって示す不等式が得られる。
総評
難度7、目安時間24分。f′′>0 から f′ が増加するという基本事実を、平均値の定理や差分の増加にどう使うかが問われる。(1)では x<y と y<x の符号を雑に扱うと危険なので、平均値の定理で中間点を置くのが安全である。(2)は p′′<0 と端点値0から内部正を読む問題。(3)は4変数をそのまま扱わず、b−a の差分関数を作ると一行の増加性に帰着する。
冊子PDFで見る東北大の微分の問題で問題集を作る
出典: 東北大学 2019年度 後期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。