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東京大学 1989年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第3問

q を正の実数とし,上半平面 H を,虚部が正である複素数全体として定める。写像f(z)=z+1qz+1について,zH ならば f(z)H であることを示せ。また,fn 回合成をfn(z)=rnz+(1q)snsnz+rnの形に表し,成り立つ関係式を求めよ。

難易度6/ 10計算量5/ 10目安15

複素数平面数列 漸化式の変形数学的帰納法恒等式比較

方針

上半平面が保たれることは、z=x+yi とおいて虚部を直接計算すればよい。反復については fn(z) が与えられた形で表されると仮定し、f をさらに1回合成して分子・分母の係数を比較する。そこで得た rn,sn の漸化式から、同時に保たれる関係式を帰納法で示す。

解答

z=x+yi, y>0 とする。このとき f(z)=z+1qz+1=1qz+1 である。また 1z+1=x+1yi(x+1)2+y2 だから Im(qz+1)=qy(x+1)2+y2>0 である。したがって z が上半平面にあるなら、f(z) も上半平面にある。

次に、n 回合成した式を fn(z)=rnz+(1q)snsnz+rn と表す。n=1 では f1(z)=z+1qz+1 だから r1=1,s1=1 でよい。

いま fn(z) が上の形で表されているとする。さらに1回 f を施すと fn+1(z)=fn(z)+1qfn(z)+1 である。分子を通分すると rnz+(1q)sn+(1q)(snz+rn)={rn+(1q)sn}z+(1q)(rn+sn) であり、分母は rnz+(1q)sn+snz+rn=(rn+sn)z+{rn+(1q)sn} である。したがって rn+1=rn+(1q)sn,sn+1=rn+sn とおけば、同じ形が保たれる。

さらにrn+12(1q)sn+12={rn+(1q)sn}2(1q)(rn+sn)2=q{rn2(1q)sn2}である。r12(1q)s12=q なので、帰納的に rn2(1q)sn2=qn が成り立つ。

よって、fnfn(z)=rnz+(1q)snsnz+rn の形で表され、rn,snr1=s1=1,rn+1=rn+(1q)sn,sn+1=rn+sn を満たし、さらに rn2(1q)sn2=qn が成り立つ。

総評

一次分数変換の反復を係数比較で追う問題で、15分から18分程度が目安である。上半平面の確認は虚部を直接出せば短い。後半は分子・分母の係数をそろえて rn+1,sn+1 を決めることが中心で、最後の関係式は展開して帰納法に乗せるとよい。抽象的に見えるが、実際には通分と2乗展開を丁寧に書けるかの問題である。

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出典: 東京大学 1989年度 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。