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東京大学 1986年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第4問

平面Sの一点Aと正数α (α<180)をとる.
点の集合としてのSからSへの写像φが,
次の三つの条件(i),(ii),(iii)をみたすとき,
φAを中心とする正の向きのα回転と呼ばれる.

(i) φ(A)=A

(ii) Sの任意の点P (A)に対し,AP=Aφ(P)PAφ(P)=α

(iii) 人が三角形Pφ(P)Aの周を一周し,Pφ(P)Aの順序に頂点を通るとき,
三角形の内部は常に人の左側にある.

いまS上に相異なる二点ABをとり,
Aを中心とする正の向きの60回転をf
Bを中心とする正の向きの60回転をgとする.
これに対し,fgの合成写像h=gfが,h(P)=g(f(P))によって定義される.

(1) このとき,点h(A)h(B)は,ABに対して,どのような位置にあるかを求め,図示せよ.

(2) hはある点Oを中心とする正の向きの回転であることを示し,点Oおよび回転角を求めよ.

難易度6/ 10計算量5/ 10目安18

複素数平面図形と方程式 回転・拡大図形的解釈

方針

相似な座標を取り A=(0,0),B=(1,0) とする。正の60度回転の座標公式を二度適用して h(x,y) を求める。A,B の像を代入し、固定点を連立方程式で求めて中心と回転角を確定する。

解答

A=(0,0),B=(1,0) とする。点 (x,y) を原点のまわりに正の向きへ60度回転した座標は(x3y2,3x+y2)である。この公式を中心 A、次に中心 B の回転へ用いるとh(x,y)=(x23y2+12,3x2y232).(1) A,B を代入してh(A)=(12,32)=C,h(B)=Aを得る。したがって ABC は線分 AB の下側にできる正三角形である。

(2) 中心 O=(p,q) は固定点なので h(p,q)=(p,q) を解く。すなわちp=p23q2+12,q=3p2q232.これよりO=(12,36)となる。さらに h(x,y)O(x,y)O を正の向きへ120度回転した座標公式そのものである。よって hO を中心とする正の120度回転である。

元の図に戻せば、O は正三角形 ABh(A) の中心である。

別解

解法2(正三角形の頂点の巡回)

方針

C=g(A) とおき、二つの60度回転でできる正三角形を追う。h が正三角形の三頂点を ACBA と巡回させることを示し、その中心まわりの120度回転と一致すると結論する。

解答

C=g(A) とおく。gB を中心とする正の60度回転なのでBA=BC=ACであり、C は線分 AB の右側、すなわち A から B を見て下側にある。したがって ABC は正三角形である。

(1) f(A)=A だからh(A)=g(f(A))=g(A)=C.また、f(B) は線分 AB の上側にできる正三角形の第三頂点であり、それを B のまわりにさらに正の60度回すと A へ移る。よってh(B)=A.(2) さらに、CA のまわりに正の60度回すと B へ移るので f(C)=B である。g(B)=B と合わせるとh(C)=B.したがって合成写像 h は正三角形の頂点をACBAと巡回させる。二つの回転の合成は長さと向きを保ち、この三点の動かし方は正三角形の中心 O のまわりの正の120度回転と一致する。ゆえに hO を中心とする正の120度回転であり、O は正三角形 ABC の重心、外心、内心に当たる点である。

総評

難易度6、計算量5。目安時間は18分である。正の向きの判定を図に任せず、h(A) が線分 AB のどちら側へ来るかを明示する。文系答案では複素数平面を前提にせず、三角比による回転公式または正三角形の幾何で完結させるのが自然である。中心は正三角形の中心として図にも戻す。

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出典: 東京大学 1986年度 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。