方針
文科第3問で得た反復表示を用いる。f10=f5 がすべての z で成り立つなら、一次分数変換として f5 が恒等変換であることと同じである。係数 rn,sn は 1+1−q の累乗に対応するので、q>1 として 1+iq−1 の5乗が実数になる条件を角度で読む。
解答
文科第3問と同様に、n 回反復した式は fn(z)=snz+rnrnz+(1−q)sn と表され、rn+1=rn+(1−q)sn,sn+1=rn+sn を満たす。
条件 f10(z)=f5(z) がすべての z で成り立つとする。一次分数変換は逆に戻せるので、これは f5 が恒等変換であることと同じである。上の表示では、f5 が恒等変換になるためには s5=0 であればよい。
ここで記号 w を w2=1−q を満たすものとして扱うと、漸化式は rn+snw=(1+w)n に対応している。実際、n=1 では r1+s1w=1+w であり、1+w を掛けると (rn+snw)(1+w)={rn+(1−q)sn}+(rn+sn)w となって、上の漸化式と一致する。 0<q<1 のときは w が正の実数で、(1+w)5 の w の係数は正となるため s5=0 にはならない。q=1 のときも漸化式から s5=5 であり、不適である。したがって q>1 とする。 t=q−1>0 とおくと w=it と書ける。1+it の偏角を θ とすると tanθ=t,0<θ<2π である。s5=0 とは (1+it)5 が実数であることなので 5θ=πまたは2π である。よって θ=5π,52π となる。
したがって q=1+t2=1+tan2θ より q=1+tan25π,q=1+tan252π である。これを整理すると q=6−25,6+25 である。
総評
文科第3問の反復表示をさらに一歩使う問題で、20分程度を見込みたい。f10=f5 をそのまま係数比較するより、5回で恒等変換になる条件へ戻すと見通しがよい。q>1 の場合に 1+iq−1 の偏角を用いるのが中心で、5θ が実数軸方向を向く条件から2つの値が出る。q=1 と 0<q<1 を除外する一言も答案に必要である。
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出典: 東京大学 1989年度 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。