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東京大学 1989年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第3問

q を正の実数とし,f(z)=z+1qz+1とする。上半平面で f を反復したとき,すべての z についてf10(z)=f5(z)となるような q を求めよ。

難易度7/ 10計算量6/ 10目安25

複素数平面三角関数 漸化式の変形、複素数の極形式、恒等式比較

方針

文科第3問で得た反復表示を用いる。f10=f5 がすべての z で成り立つなら、一次分数変換として f5 が恒等変換であることと同じである。係数 rn,sn1+1q の累乗に対応するので、q>1 として 1+iq1 の5乗が実数になる条件を角度で読む。

解答

文科第3問と同様に、n 回反復した式は fn(z)=rnz+(1q)snsnz+rn と表され、rn+1=rn+(1q)sn,sn+1=rn+sn を満たす。

条件 f10(z)=f5(z) がすべての z で成り立つとする。一次分数変換は逆に戻せるので、これは f5 が恒等変換であることと同じである。上の表示では、f5 が恒等変換になるためには s5=0 であればよい。

ここで記号 ww2=1q を満たすものとして扱うと、漸化式は rn+snw=(1+w)n に対応している。実際、n=1 では r1+s1w=1+w であり、1+w を掛けると (rn+snw)(1+w)={rn+(1q)sn}+(rn+sn)w となって、上の漸化式と一致する。 0<q<1 のときは w が正の実数で、(1+w)5w の係数は正となるため s5=0 にはならない。q=1 のときも漸化式から s5=5 であり、不適である。したがって q>1 とする。 t=q1>0 とおくと w=it と書ける。1+it の偏角を θ とすると tanθ=t,0<θ<π2 である。s5=0 とは (1+it)5 が実数であることなので 5θ=πまたは2π である。よって θ=π5,2π5 となる。

したがって q=1+t2=1+tan2θ より q=1+tan2π5,q=1+tan22π5 である。これを整理すると q=625,6+25 である。

総評

文科第3問の反復表示をさらに一歩使う問題で、20分程度を見込みたい。f10=f5 をそのまま係数比較するより、5回で恒等変換になる条件へ戻すと見通しがよい。q>1 の場合に 1+iq1 の偏角を用いるのが中心で、5θ が実数軸方向を向く条件から2つの値が出る。q=10<q<1 を除外する一言も答案に必要である。

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出典: 東京大学 1989年度 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。