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東京大学 1990年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第3問

Vを一辺の長さが 1 の正8面体,すなわち xyz 空間においてx+y+z12をみたす点 (x,y,z) の集合と合同な立体とする。

(1) V の一つの面と平行な平面で V を切ったときの切り口の周の長さは一定であることを示せ。

(2) 一辺の長さが 1 の正方形の穴があいた平面がある。V をこの平面にふれることなく穴を通過させることができるか。結論と理由を述べよ。

難易度6/ 10計算量5/ 10目安20

図形と方程式ベクトル 座標設定図形的解釈、範囲評価

方針

(1) は正8面体を標準形 x+y+z1/2 に置き、1つの面に平行な切断面を x+y+z=t として調べる。切り口の辺は3方向に分かれ、各方向の長さの和がもとの正8面体の一辺1に等しいことを示せば周長は一定になる。(2)は通過方向に垂直な平面への投影が一辺1の正方形の内部に入る具体的な向きを作ればよい。

解答

(1)
正8面体を x+y+zR,R=12 として考える。この正8面体の一つの面は、例えば x+y+z=R,x0,y0,z0 上にある。したがって、この面に平行な平面は x+y+z=t(RtR) と書ける。他の面に平行な場合も、座標の符号を替えれば同じ議論である。

切り口の辺は、正8面体の辺に平行な3方向、すなわち (1,1,0),(0,1,1),(1,0,1) に平行な方向に分かれる。0tR としてよい。切り口が端に近づくと一部の辺は長さ0に退化するが、各方向について互いに平行な2本の辺の長さの和は常に正8面体の一辺の長さに等しい。実際、例えば xy 方向の2本は、平面 x+y+z=t が、もとの面とそれに対向する面の間を平行に動くことで、一方が短くなる分だけ他方が長くなる。両端ではそれぞれ長さが 10 になり、途中ではその和が変わらない。

同じことが3方向すべてで成り立つので、切り口の周の長さは 1+1+1=3 で一定である。

(2)
通過できることを、具体的な向きを作って示す。穴の平面内に、互いに直交する単位ベクトル u=13(2,1,2),v=13(2,2,1) の方向をとる。実際 u=v=1,uv=0 である。

正8面体の6個の頂点は (±R,0,0),(0,±R,0),(0,0,±R) である。これらを穴の平面に投影し、平面内の座標を u 方向、v 方向で測ると、u 方向の幅は2Rmax(23,13,23)=21223=223である。同様に、v 方向の幅も 2Rmax(23,23,13)=223 である。

ここで 223<1 である。したがって、この向きで見た正8面体の投影は、一辺1の正方形の内部に入る。よって、その投影方向に沿って動かせば、平面にふれることなく正方形の穴を通過させることができる。

総評

難度は10段階中6、計算量は10段階中5。(1)は切り口そのものの形が三角形から六角形へ変わっても、3方向の辺長の和が変わらないことを押さえる問題である。(2)は「入りそう」という直感ではなく、投影の横幅と縦幅がどちらも1未満になる具体的な直交2方向を示す必要がある。試験場では20分程度で、通過方向を面に垂直に固定しない柔軟さが鍵になる。

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出典: 東京大学 1990年度 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。